目立たないが不可欠、段ボール業界の課題
──はじめに、サクラパックスの事業概要と、段ボール業界を取り巻く環境や課題について教えてください。
橋本:私たちサクラパックスは段ボールの製造・販売を行っている会社です。段ボールの製造には3段階あり、まず全国10社ほどの製紙メーカーが紙を作り、私たちのようなメーカーがその紙を購入して3枚貼り合わせ、段ボールのシートを作ります。こうしたメーカーは全国に200社強あります。そして、そのシートを購入して段ボールの箱を作る会社が全国に約2,000社以上あります。
段ボールはリサイクル率98%と環境に優しい素材ですが、安価でかさばるため、トラックに積んでも運賃のほうが高くなってしまいます。そのため、半径100kmから150km圏内の商売となり、地場産業色が非常に強いのが特徴です。当社は北陸・信越エリアを中心に事業を展開しており、創業からまもなく80年を迎えますが自己資本比率も約83%と安定経営を行っています。
──市場や業界全体の状況はいかがでしょうか。
橋本:段ボール業界全体で見ると、お客様のメインは食品や青果物、飲料関連です。しかし、地場産業色が強いため、地域ごとの産業に影響されます。富山であれば医薬品やアルミ建材、新潟であれば米菓が多いですね。ただ総じて言えるのは、内需の商売であるため、人口減少による影響を非常に大きく受けるということです。
日本のGDPと段ボールの生産量はほぼ連動しており、これから業界全体として淘汰の時代を迎えると考えています。段ボールは物流の中では絶対に欠かすことができない存在ですが、製造工程の最後で使われるため、お客様の意識が留まりにくい点も特徴かもしれません。
社会貢献PRの限界と、採用動画の真の目的
──そのような状況下でサクラパックスは動画「VS段ボール」シリーズを公開していますね。地上100メートルから段ボールを落とす、段ボールを爆破するなど目を引きます。どのような目的があるのでしょうか?
橋本:目的は完全に「採用」です。先ほど触れたとおり、段ボールはやや地味な業界で、商品自体も他社との差別化が難しい側面があります。当社はこれまで新聞やテレビなどのメディア発信を通じて、社会貢献活動をアピールしてきました。「サクラパックスはいつも良いことをやっている」という信頼を構築し、売上も伸ばしてきたのです。
採用も比較的順調だったのですが、人材の売り手市場を背景に、内定を出しても辞退されることが増えてきました。学生は複数の内定を得た際に、自分が扱いたい製品の会社を優先的に選びます。この観点では、社会貢献だけを強みにしていると就活生に選ばれにくいのです。そこで原点に返り、「本業である段ボールで選んでもらえる会社を作ろう」「段ボールを好きになってもらおう」と考え、今回の動画制作をスタートしました。
