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マーケティング最新事例 2026

富山の段ボール会社が「過激な動画」で180万回再生超え、その裏にある内定辞退率低下の狙いとは

 富山県の総合段ボールメーカーであるサクラパックスは、過激な演出を用いた「VS段ボール」シリーズの動画を公開し、反響を呼んでいます。目的は内定辞退率の低下だという本動画施策。単なるバズ狙いではない、採用プロセスに組み込まれた独自のナーチャリング戦略や、社員の意識を変えたインナーブランディング効果など、同社の取り組みを取材しました。

目立たないが不可欠、段ボール業界の課題

──はじめに、サクラパックスの事業概要と、段ボール業界を取り巻く環境や課題について教えてください。

サクラパックス株式会社 代表取締役社長 橋本 淳氏
サクラパックス株式会社 代表取締役社長 橋本 淳氏

橋本:私たちサクラパックスは段ボールの製造・販売を行っている会社です。段ボールの製造には3段階あり、まず全国10社ほどの製紙メーカーが紙を作り、私たちのようなメーカーがその紙を購入して3枚貼り合わせ、段ボールのシートを作ります。こうしたメーカーは全国に200社強あります。そして、そのシートを購入して段ボールの箱を作る会社が全国に約2,000社以上あります。

段ボールはリサイクル率98%と環境に優しい素材ですが、安価でかさばるため、トラックに積んでも運賃のほうが高くなってしまいます。そのため、半径100kmから150km圏内の商売となり、地場産業色が非常に強いのが特徴です。当社は北陸・信越エリアを中心に事業を展開しており、創業からまもなく80年を迎えますが自己資本比率も約83%と安定経営を行っています。

──市場や業界全体の状況はいかがでしょうか。

橋本:段ボール業界全体で見ると、お客様のメインは食品や青果物、飲料関連です。しかし、地場産業色が強いため、地域ごとの産業に影響されます。富山であれば医薬品やアルミ建材、新潟であれば米菓が多いですね。ただ総じて言えるのは、内需の商売であるため、人口減少による影響を非常に大きく受けるということです。

日本のGDPと段ボールの生産量はほぼ連動しており、これから業界全体として淘汰の時代を迎えると考えています。段ボールは物流の中では絶対に欠かすことができない存在ですが、製造工程の最後で使われるため、お客様の意識が留まりにくい点も特徴かもしれません。

社会貢献PRの限界と、採用動画の真の目的

──そのような状況下でサクラパックスは動画「VS段ボール」シリーズを公開していますね。地上100メートルから段ボールを落とす、段ボールを爆破するなど目を引きます。どのような目的があるのでしょうか?

VS動画シリーズ第1弾『VS段ボール「ヘリコプター」篇』

橋本:目的は完全に「採用」です。先ほど触れたとおり、段ボールはやや地味な業界で、商品自体も他社との差別化が難しい側面があります。当社はこれまで新聞やテレビなどのメディア発信を通じて、社会貢献活動をアピールしてきました。「サクラパックスはいつも良いことをやっている」という信頼を構築し、売上も伸ばしてきたのです。

採用も比較的順調だったのですが、人材の売り手市場を背景に、内定を出しても辞退されることが増えてきました。学生は複数の内定を得た際に、自分が扱いたい製品の会社を優先的に選びます。この観点では、社会貢献だけを強みにしていると就活生に選ばれにくいのです。そこで原点に返り、「本業である段ボールで選んでもらえる会社を作ろう」「段ボールを好きになってもらおう」と考え、今回の動画制作をスタートしました。

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過激な演出の裏にある緻密なブランド戦略

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/10/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/77520

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