テレビ広告にも「なんとなくの認知」から「データに基づいた戦略的投資」への転換が求められている。2026年9月に開催されたMarkeZine Day 2026 Autumnに、楽天グループ株式会社(以下、「楽天」)の三木望氏と、日本テレビ放送網株式会社の弘田真之氏が登壇。楽天が初めて手がける運用型テレビ広告「RMP - TV Ads」を軸に、視聴ログと楽天の消費行動分析データでテレビ広告を「狙う・買う・測る」新たな手法を、日本テレビとの取り組みを交えて紹介した。
テレビ広告の「効果が見えない」──マーケターが抱える3つの悩み
テレビ離れと言われる昨今だが、テレビ広告のリーチ力は今も高い。日本テレビ系列だけで見ても、全国で1億人を超える月間リアルタイム視聴者にアプローチでき、関東ではエリア内人口の8割超に届く(ビデオリサーチ視聴率データより推計)。他媒体と比較した調査でも、テレビは広告受容性のポジティブ評価が高く、ネガティブ評価が低いという結果が出ている。「認知」を目的とした媒体として、テレビはいまも他のデジタルにない強みを持つ。
一方、広告主からは次のような声が増えているという。スポットCMを出しているが狙いたいターゲットに届いているか不安、テレビに興味はあるが効果を得るには莫大な費用がかかるイメージがある、出稿はしているが効果や成果が見えず説明できない――。
裏を返せば、テレビ広告に求められているのは、ターゲットを可視化して狙い撃つこと、限られた予算でも効率よく出せること、そして実際の成果まで可視化できることだ。「なんとなくの認知」から「データに基づいた戦略的投資」へ――この転換をどう実現するかが、本セッションの主題である。楽天の三木氏は、楽天だからこそ実現できるテレビ広告の最適解を紹介した。
テレビ広告を「狙って買える」、さらに「効果も測れる」?
楽天のマーケティングソリューションの一つである「RMP - TV Ads」は、ひとことで言えば、効果の高い地上波テレビ広告が“わかる・買える”広告ソリューションだ。仕組みの核は、テレビの視聴ログと楽天のデータを組み合わせる点にある。
テレビ視聴ログは、テレビデバイスから取得できる「いつ・どのチャンネルを見たか」というデバイス単位の情報。これに対して楽天のデータは、楽天会員一人ひとりの購買や行動を捉えたもの。両者を突き合わせることで、どんな特性を持つ人が、どの番組をよく見ているのかを属性ベースで把握できるようになる。
楽天のデータの強みは、その規模はもちろん、それが「ファクト(実行動)である」ことにある。「楽天エコシステム(経済圏)」には70以上のサービスがあり、1億以上のID、年間6兆円規模の国内ECサービスでの流通総額に基づく購買データが蓄積されている。調査サンプルではなく、実際の購買・行動データに基づいて広告枠を特定し、効果を検証できる点が従来のテレビ広告のプランニングと一線を画す。
「楽天のデータは、アンケートなどのサンプルではなく、実際の行動に基づいたファクトのデータです。そこが精度の違いにつながっています」(楽天・三木氏)
この「RMP - TV Ads」を貫くのが、効果の高い番組・広告枠を特定する「狙う」、広告枠単位で入札出稿する「買う」、消費行動分析データで投資価値を証明する「測る」という3つのコアバリューである。以下、順に見ていこう。
「視聴率」ではなく「見ている人」軸でCMを届ける
まず「狙う」。三木氏が示したのは、個人視聴率5%(推定視聴者200万人)の2つの番組を比べたデータだ。視聴率が同じ=人数が同じでも、見ている層の“内訳”はまったく違う。たとえば平日夜の情報バラエティー番組では「食」や「健康」に関心を持つ視聴者が多く、人気アイドルの冠番組では「美容」や「ファッション」に関心を持つ層が多い、といった具合である。
定性的には知られていたことだが、これを楽天の実データで可視化できるのがポイントだ。デモグラのような抽象的なターゲットから、本当に届けたい「効果が出る視聴者層」へ絞って狙い撃つ。テレビはブロードキャストであり放送自体は広く届くが、その中での興味関心層の含有は番組ごとに明確に異なる。「その切り口を楽天データで可視化できるのは、他のデータパートナーにはない強みだと感じています」と日本テレビ・弘田氏も評価する。
1本単位でもOK!狙い定めた枠を買い付けられる仕組み
次に「買う」を支えるのが、日本テレビが開発した、テレビ広告をデジタル広告のようにインプレッションベースで購入・運用できるプラットフォーム「Ad Reach MAX(アドリーチマックス)プラットフォーム」が提供するプロダクト「AdRM-EXchange(アドリーチマックス エクスチェンジ)」だ。これは言うなれば、地上波放送枠のオークションのようなもので、CMの広告枠15秒を1枠とし入札形式で買い付けられる。
これまで、出稿前後のプランニングや効果検証はデータパートナーや広告会社が担ってきたが、「次回のスポットをどうするか」というコアの部分は人手でのやり取りが中心だった。それを放送直前のオークションでキャンペーン期間中に最適化できるようにしたのが「AdRM-EXchange」である。
プランニングで狙いを定めた枠を入札で買いにいくため、1本単位での出稿が可能になり、「テレビCMは、まとまった予算がないと出せない」という出稿のハードルも下がる。落札した枠は地上波として放送されるため、ターゲット以外にも広く認知される点はそのまま活かせる。規模でいえば、日本テレビ在庫の約5%が対象で、CM本数は週220本、想定インプレッション規模は月10億に上る(2026年4月期時点)。
この取り組みは、日本テレビ単独ではなく、放送局共通のプラットフォームを目指して進められている。2026年10月から関西・中京エリア(読売テレビ、中京テレビ)に広がり、最大約7,000万人へのリーチが可能に。さらに2027年4月には福岡放送と札幌テレビが、同年春頃にはTBSテレビが予定されており、在京キー局や在阪・在名局とも協議が進む。「RMP - TV Ads」でも、これらの在庫に順次対応していくという。
AdRM-EXchange自体は2025年4月に開始し、これまで約50社の広告主に利用されてきた。日本テレビ・弘田氏はその内訳について「半数以上が、デジタル由来の予算からの出稿や、一度テレビ広告から離れていたものの“この取り組みなら”と復活していただいたケースです」と明かす。テレビに課題を感じていた層や、デジタル中心でテレビにハードルを感じていた層こそ検討したい新しい選択肢だ。
消費行動分析データで、テレビ広告の投資対効果を証明する
3つ目の「測る」には、2つの側面がある。1つはプランニングの“答え合わせ”で、狙ったターゲットにどれだけ当たり、効率がどうだったかを見る。もう1つが、購買・コンバージョンの「リフト分析」だ。
具体的には、まず広告に接触した人・していない人を、テレビ視聴ログと楽天データから特定する。次に、購買した人のリストを楽天IDベースで用意し、両者を連携。これにより、接触者と非接触者で購買がどれだけ増えたか(リフト)を分析できる。購買者のIDはオンラインならタグの設置で、オフラインなら「楽天ポイントカード」提示によるPOS連携など、楽天グループのサービスのデータを活用する。認知から獲得まで、ファネル全体で効果を検証できる点が特徴だ。
「従来のテレビ広告は、認知や検索量までは測れても、獲得のところまで計測しようとすると精度の面で難しさがありました。そこを楽天のデータを使うことで、一定以上カバーできるようになっています」(楽天・三木氏)
ちなみに、ターゲットの粒度は“広すぎず狭すぎず”がポイント。狭すぎるとデジタル施策のほうが向き、性年代だけでは広すぎて絞る意味が薄れる。感覚で選んだ番組が当たっていることもあるが、データで見ると別の番組が同じくらい効いていた、というケースも実際にあるという。
「RMP - TV Ads」は2026年7月中旬にサービスインしたばかり。今後はドラッグストアやスーパー、ホームセンターに関連する商材のオフラインの購買データ計測も開始予定である。
テレビとデジタルを、ひとつのプランニングへ
楽天はもともと、デジタル広告を数多く手がけてきた。Rakuten Marketing Platform(RMP)には、ディスプレイ広告や動画・ソーシャル広告、DM・メール広告、サンプリングまで幅広い商品があり、いずれも楽天のデータを活用している点が共通する。ここに今回、テレビ(RMP - TV Ads)が新たに加わった。
三木氏が今後の焦点に挙げたのは、テレビとデジタルを統合した管理・プランニング・効果計測である。広告主からもニーズが寄せられる領域であり、「ようやくその土壌ができたタイミング」だという。日本テレビ・弘田氏も、「これまでのデジタルのプランニングの“地続き”に地上波を入れていく。放送局だけではできない領域で、ぜひご一緒したい」と応じた。
「勘と経験」で語られてきたテレビ広告が、消費行動分析データで語れる投資対象へと変わろうとしている。テレビ広告の費用対効果を経営層にどう説明するか――長く残ってきたこの問いに対し、運用型テレビ広告は一つの解を提示しつつある。
楽天の広告に関するお問い合わせはこちらから!
楽天は、高精度かつ膨大なデータと多様なサービス、独自のAIを掛け合わせ、多種多様な業界向けに広告商品を提供しています。広告商品は、「RMP - TV Ads」に加え、ディスプレイ・動画広告、ダイレクトメールやサンプリングなど多岐にわたります。
ご興味をお持ちいただけましたら、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:リンクシェア・ジャパン株式会社
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
