国内49社、300ものソリューションを展開するパーソルグループ。同社は複雑化する事業体制の中で「愛されるマーケティング」を掲げ、データとAIを活用した組織横断のBtoBマーケティング改革に挑戦している。2026年9月に開催された「MarkeZine Day 2026 Autumn」には同社の繁田佳典氏が登壇。アポ獲得率25%という成果を生み出した3つの壁の乗り越え方を公開した。
300のソリューションを統合する「愛されるマーケティング」の思想
国内49社のグループ会社と約300種類のソリューションを抱えるパーソルグループ。派遣事業や求人メディアなど強固なビジネス基盤を持つ同社だが、事業の拡大にともない、顧客情報の分散や各事業会社間でのシナジー創出に課題を抱えていた。
全事業会社の中で中立的な立場にあるパーソルホールディングスの法人マーケティング部は、こうした分散された顧客基盤を統合し、組織横断で最適なソリューションを提供する体制の構築を目指してきた。
同部が掲げるコンセプトが「愛されるマーケティング」だ。これは、押し売り型の営業スタイルではなく、顧客に寄り添いながら「欲しい情報を、欲しいタイミングで、適切なチャネルとメッセージで届ける」という思想である。グループが抱える豊富なソリューションを背景に、顧客の多様な困りごとに対して最適な提案を行うことで、顧客だけでなく社内の営業・経営陣からも信頼されるマーケティングを目指している。
特定のサービス単体ではなく、グループの総力を結集して「構造的なクロスセル」を生み出す仕組み作りが、同社のBtoBマーケティング改革の原点となっている。
「プロダクト起点の提案ではなく、300の引き出しから顧客の課題にフィットするソリューションをつなげていく。営業活動を最適化し、グループ全体で顧客に価値を提供することが我々の活動の本質です」(繁田氏)
企業の垣根を超え、300万件以上の商談データを集約
構造的なクロスセルを実現するための最大の障壁となったのが、グループ内に点在するデータの統合、すなわち「データの壁」だった。AIによる適切な分析と高精度な商材マッチングを行うには、膨大かつ解像度の高い商談データが不可欠となる。しかし、会社や部署の壁を越えたデータ共有には、法務やセキュリティ面での厳格なハードルが存在していた。
この課題に対し、同部は主要事業会社のCRMツールに蓄積されている膨大な商談情報を12種類のカテゴリーに分類。機密情報や個人情報に配慮しつつ、共有可能なデータの条件を法務や事業会社の関係者と粘り強く調整した。テキストデータのまま連携する範囲や非表示にする項目など、現実的な折衷案を1つずつ模索し、合意を形成していった。
結果として、ホールディングスを含めた5社のCRMツールから、累計300万件に及ぶ名刺データと300万件の商談情報、さらに取引履歴や外部データを1つの顧客データ基盤(CDP)に集約することに成功した。これにより、AIやデータサイエンティストが高度な推測分析を行えるAI Readyな環境が整備された。
「データ分析の精度を上げるには、分母となるデータの質と量が欠かせません。各社との調整を丁寧に行い情報を循環させる体制を整えたことが、その後のAI活用の土台となりました。将来的には、お客様から『昨日、○○さんも来たけど知ってる?」とグループ内の他社の営業担当の名を出されても、『もちろん知っていますよ』ときちんとお答えできるようになる。顧客体験を損なわない、まさに『お客様から愛される』営業活動が実現するでしょう」(繁田氏)
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。
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