「自分の顧客」から「グループの顧客」へ
組織横断のマーケティング推進において、最も根深い課題となりやすいのが「営業の心情の壁」だ。特に現場の営業組織が強い発言権を持つ組織文化では、マーケティング部門の施策に対する理解と協力を得ることが不可欠となる。
同部はこの心理的ハードルを越えるため、社内外でのブランディングと地道な対話を並行して推進した。まず、社内で新たな施策を打ち出す際の「錦の御旗(あるべき姿)」として「愛されるマーケティング」を提示。さらに外部のアワード受賞やメディア露出、イベント登壇などを戦略的に行い、社外からの高い評価を獲得することで、「ホールディングスのマーケティングは先進的で信頼できる」という実績を作り出した。
同時に、社内イントラでの情報発信にとどまらず、全国の営業所をメンバー自ら行脚した。各地域のマネージャー会やキーパーソンとの定例ミーティングに直接赴き、施策の意図やグループ全体にもたらすメリットを丁寧に説明して回ったのだ。
「社外での客観的な評価と、現場との直接的なコミュニケーション。この両輪を回すことで、『自分の顧客』という意識から『グループ全体の顧客』という共通認識へ、時間をかけて意識変革を進めています」(繁田氏)
グループが「愛される」ために。顧客基盤の強化に挑む
「データの壁」「AIの壁」「営業の心情の壁」を乗り越えた同部は現在、各事業会社のマーケティング組織と棲み分けながら、持続的成長に向けた新たな戦略に着手している。これまで主軸としてきた新規開拓領域から、既に取引のある既存顧客の基盤をより深く、厚くしていくアプローチへのシフトだ。
その具体的な指標として導入されたのが、「Persol Order Table(通称:POT)」と呼ばれる新概念だ。これは、単一の顧客企業がパーソルグループ内で「何社のサービスを利用しているか」を示すステータス指標である。取引会社数が1社(POT1)の顧客を2社(POT2)、3社(POT3)へと引き上げていくことで、顧客ロイヤリティの向上と強固な関係性の構築を目指すのだ。
既にパーソルとの接点を持つ既存顧客に対しても、「愛されるマーケティング」を実践し続けること。グループ各社が連携して次の1社での取引をプラスしていくグループ営業戦略が、今まさに同社の目指す未来像だ。
「グループ内の顧客基盤を最大化し、適切なタイミングで価値を届ける。一連の取り組みを通じて、日本全体の労働市場の生産性向上に貢献しながら、真に顧客から愛されるマーケティングをこれからも追求していきます」(繁田氏)
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。
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