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「UNBOUND 2026」現地レポート

センスをAIに外注するな。HubSpot CMOが語るゼロクリック時代の新戦略

HubSpotのAI活用ベストプラクティス

──ボドナーさん自身がHubSpotのCMOとして、自社のマーケティングチームにAIを導入・運用する中で、最もインパクトのあった施策について教えてください。

 最初に挙げたい施策は、Webサイト上でAIを活用したチャットボットを導入し、訪問者の質問に回答した上で、営業チームのメンバーに引き継ぐ取り組みです。

 次に挙げたいのは、AIを活用してパーソナライズされたメールを作成する取り組みです。これはパーソナライゼーショントークン(※)とは異なります。AIが受信者1人ひとりに合わせて独自のメールを作成するのです。

※メールやWebサイトなどのメッセージ内に、顧客の氏名や会社名などのデータベース上の情報を自動で差し込むための変数のこと

 企業によっては、カスタマイズされたコンテンツ作成のエージェントを使うこともありますよね。たとえば、エージェントを作って広告クリエイティブを作るというやり方もありますが、動画をメールマガジンに変換するなど、一つのコンテンツを別の形に再活用して効果を倍増させることにも活用できます。私たちとしても、コンテンツ作成のエージェントの提供には力を入れていて、HubSpotの多くのユーザーさんがこれを活用しています。

──「動画コンテンツをメールマガジンに変換する」のイメージが湧かないので、もう少し詳しく説明いただけますか?

 先ほどのセッションで、コンテンツで成功するための2つの戦略について触れました。1つは、長文の記事や長編動画といった長尺のコンテンツから始め、それを短いコンテンツに分割する方法です。その具体的な方法については、すぐに説明します。もう1つは、たくさんの小さなアイデアを試して、どれがヒットするかを見極め、それをさらに長尺のコンテンツに発展させる方法です。

 実例を挙げてご説明しましょう。私たちは『Marketing Against the Grain』というポッドキャストを収録しています。1エピソードは約30分です。通常、その動画をAI動画編集ツールにかけると、ツールが台本を分析してYouTube Shorts、Instagram Reels、TikTokなどに投稿するためのショート動画として、切り出すべきクリップを自動的に判断してくれます。また、その動画の文字起こしデータを活用して、メールマガジンの形式に書き直したり、コンテンツ戦略や注力分野に応じて一連のLinkedIn投稿に書き直したりすることも可能です。

 つまり、AIに適切なトレーニングと設定を行うことで、優れたアイデアを広めるのに最適なネイティブ形式へと変換することができるのです。

──先ほどのセッションで「人間がセンス(taste)を提供し続けることが重要だ」とおっしゃっていましたよね。ショート動画やメールマガジンの作成における戦略はセンスで、実施の部分はAIに任せることができる、という理解で合っていますか?

 はい。重要なのは最初の要素、つまり長尺であっても短尺であってもコンテンツは人間によって生成されるべきということです。彼らが自ら生み出す独自のセンスとコンテンツがあり、AIはそのスケールアップを支援しているのです。

マーケティングを行うのにうってつけの時代

──最後に、日本のマーケターやCMOに向けてボドナーさんからメッセージをいただけますか?

 私は楽観主義者で、世界は良い場所だと信じています。著書『Loop』でも触れていますが、今ほどマーケティングを行うのに適した時期はありません。ただ、多くのマーケターにとっては正反対に感じられるかもしれません。マーケティングは難しく感じられ、大きく変化しています。私自身も長い間、そう感じていました。

 しかし、私はその先へ進み、次世代のマーケティングで何が可能かを見られるようになった気がします。それはとても楽しく、ワクワクするものです。個人的には、恐らくこれまでで最も多くのマーケティング業務に携わり、管理業務が減った1年でした。それは素晴らしいことだと思います。

──前向きな気持ちになるメッセージをありがとうございました。著書の出版を楽しみにしています!

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/10/07 09:00 https://markezine.jp/article/detail/77779

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