成果を上げるポイント3~4
悪いと判断されたシナリオをどう検討するか
シナリオが悪いと判断された場合、そのシナリオは流入施策ごとやめてしまうということもあるが、改善の余地があるシナリオかどうかを把握する必要もある。
「例えばキーワードA、B、C入ってくる3つのシナリオがあり、Cからの来訪者はコンバージョンして、AとBからの来訪者はコンバージョンしない、といったケースがあるとします。AとBが一概に悪いとして切るのは危険ですから、『ここまで行ったらまあまあ良い』という中間のコンバージョン地点を設定してそこを見ていきます。そして、Aは来たが、Bは来ていないということがわかったとすると、Aのお客様は見込みがあることが分かります。コンバージョンアップを目的とした場合、EFO(エントリーフォームの最適化)を考えがちですが、運用チューニングの中でEFOは不可能なので、そうではない捉え方をします」と中島氏は指摘する。
ここで行う施策は、Aにマッチしたランディングページをつくることだ。それだけでコンバージョンが向上する例も多いと中島氏。EFOもいいがフォームを通過するかしないかは、ユーザー側のモチベーションに依存することが多くであればモチベーションを高めるランディングページを用意した方がいいというわけだ。
では、悪いシナリオのうち、伸びしろがなかったシナリオはどうすべきか。中島氏は“間接効果”という概念を紹介した。
「『アシスト効果』と言われているものです。あるFX会社さんがアフィリエイトに注力したにもかかわらず、コンバージョンがないのでやめてしまったら、次の日からリスティングや自然検索からのコンバージョンも激減したという事例がありました。つまり、アフィリエイトが間接的にコンバージュンを促していたと言えます。このように直接ではないが、間接的にコンバージュンへと結びつけている効果を『間接効果』もしくは『アシスト効果』と呼びます」と語った。
さらに中島氏は「例えば、たくさんのアフィリエイトサイトで広告を見て3か月後にコンバージョンしたユーザー1と、アフィリエイトサイトを見てすぐに検索してコンバージョンしたユーザー2がいた場合、ユーザー2の方は1度のアフィリエイトで自然検索に転換したということでこれは強いアシストになります。それに対して1は弱いアシストになるので、同じアシストでも意味が変わってきます。また、集客用の情報サイトを別で立ち上げてそこで商品名の認知やサイトの認知をとるという施策もありますが、その評価もアシストのデータを見ると出てきます。どれだけコンバージョンに至る時間が短くなったかでその集客用のコンテンツが効いているかいないかを判断しています」と説明した。
改善
最終ステップの改善ではA-Bテストを推奨していると中島氏は語った。「改善案は、あくまで仮説でしかありません。データを見ればその裏返しでいい施策が出てくるものだと思われますが、先ほどから言うようにデータはシナリオの良し悪しを判断する指標の1個でしかないので、改善案は機械的に出るものではなく人間が仮説として出すものになります。A案とB案でB案が良かったからB案採用とやるのがA/Bテストという認識が多いですが、実はA案とB案の両方を走らせて出たデータを分析して、さらにそのデータをもとにZ案を作るのがもっとも効果的なのではないでしょうか」
最後のまとめとして中島氏は、次のようになメッセージを伝え、プレゼンテーションを終えた。
「本日言いたかったことは、『運用チューニングのフェーズではアクション可能な領域に絞ること』『見る指標は絞ること』『指標自体を評価するのではなくシナリオを評価すること』『シナリオを改善するために仮説検証を繰り返していくこと』という4点です。そうすることでPDCAがうまく回ると思いますので、ぜひ試してみてください」