2010年は「ウェブ解析本格活用元年」
早いもので、この連載を始めてからもうすぐ1年が経とうとしています。
2009年を振り返ってみると、ウェブ解析を活用する日本の企業はかなり本格的な取り組みを始めたという印象を受けるプロジェクトの多い1年でした。特に、ウェブ解析データを、経営判断や組織横断的な共通指標として活用しようという動きが見受けられました。
ウェブ解析ツールを、重要な“基幹システム”としてみなし、現場に浸透させ、活用するにはどのような啓蒙活動や組織体制が必要なのかといったご相談を受けたり、そのサポートのお手伝いをすることが多々ありました。
そこで、「ウェブ解析を本格的に活用する」企業が増えるであろう2010年に向けて、ウェブ解析担当者に求められるスキルや役割について、まとめていきたいと思います。
ウェブ解析担当者に必要なスキル~オンラインマーケティングの専門知識
ウェブ解析担当者というと、一般的には“ウェブ解析データを使ったレポートを作成する人”というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?
実際には、社内における“新しい分野”のエバンジェリストになる必要があるだけではなく、社内の期待も高まっていることからさまざまな役割が求められます。この記事では、社内の期待に応えるためのウェブ解析担当者に必要な4つのスキルと4つの役割について考えてみます。私が考える4つのスキルと4つの役割は以下となります。
【4つのスキル】
- オンラインマーケティングの専門知識
- Webやウェブ解析への技術的な理解
- ビジネス/マーケティングへの理解
- コミュニケーション能力
【4つの役割】
- “発想力”を活かしたツール選別・情報の選択
- ビジネス視点を取り入れたシステム導入力
- 最適化アクションを起こすための社内啓蒙
- データを経営判断に活かす文化の浸透
では、スキルから1つずつ紹介していきましょう。
オンラインマーケティングの専門知識
オンラインマーケティングの世界は、マウスイヤーと呼ばれるほど、進化が早いのが特徴です。新しいツールの登場やユーザーとのコミュニケーション方法の進化など、常に変化している世界と言えます。その世界に身を置くのであれば、それらが自社のビジネスゴールにとって、どのように活用できるのかにアンテナを張る必要があります。というのも、ウェブ解析担当者は動画やTwitter(ツイッター)といった新しいWebサービスをWebサイトに採用するのであれば、それらをウェブ解析ツールでどのような基準を持って、定量的に評価すべきかを検討する必要があります。
また、リスティング(検索連動型広告)の自動入札やA/Bテスト、ターゲティングなどのマーケティングツールを導入したとなると、ビジネス判断に必要なマーケティングデータを取得していくべきかを考える必要があるからです。
米国では、メディア業界のWebサイトは、常に最先端の技術を取り入れていると言われています。メディアのウェブ解析担当者は、それら最先端技術を活用し、効果測定も行ってROI(費用対効果)を判断しています。効果があった場合は“より投資”を、効果がなかった場合は“継続しない”という判断を繰り返しながら、ビジネスを成長させています。