消費者意識の変化に合わせることも重要
そのように行動絵コンテを描いて行くうえで、モバイルのヘビーユーザーである若年層の考え方を把握しておくことも重要だと藤田氏は言う。若者の間ではエコ意識が高い一方、所有欲はあまり無く、コミュニケーションを重視する傾向があるとする。
例えば、販売促進にクーポンを紙に印刷して配った場合、若者に対しては逆効果になりかねない場合もあるという。「最近の若い人たちを見ると『紙を使うのは嫌だ』と思っているようです。クーポンは全部使わないのに、残りがゴミになるのは嫌だと。エコ志向に応えないと『あの会社は何だ』と選ばれなくなってしまうリスクがあります」。そうした若者の意識の変化を捉え、率先してクーポンを電子化してモバイル向けに提供するようにした企業は評判が良くなる傾向があるのだとか。
また、若年層で車の購入者が減っているのに対して、SNSなどコミュニケーションの場が流行している。それに代表されるように、若者の満足する軸は「所有すること」から「コミュニケーションすること」に移ってきているのではないかと説を唱える。商品、そしてそのプロモーション施策に触れることをきっかけに、若者の間でコミュニケーションが生まれるように設計されているかどうか。マーケティングだけではなく、商品・サービスのあり方までを変えていける企業こそ、これから成功を収められるのではないかと藤田氏は予測する。
「『デフレだ』と言われていますが、実はそう言っている企業側にも原因があるのかもしれません。モバイルなどのインタラクティブなメディアに、マスをどう絡めるのか。これからの10年を考えると、消費者の変化に合わせて行動絵コンテを作れるかという点がカギになるのではないでしょうか。エコも考えないといけないし、所有欲からコミュニケーション欲に満足軸が変わったことも考えないといけません。難しいですが、非常にやりがいがあって、面白い時代になってきたと思いますね」

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