先入観に囚われず、個客の行動をミエル化
個人の行動履歴や趣味・嗜好に合わせた“個客”マーケティングの実践方法を取り上げた「MarkeZine Day Spring 2010」のトップバッターは、株式会社ユーザーローカルの渡邊和行氏だ。
同社のアクセス解析ツール「ユーザーインサイト」は、サイト来訪者の視線・行動の履歴をサーモグラフィー風のヒートマップで見れるという特長を持つ。ユーザー属性・流入経路などのセグメントで切ってユーザー行動を分析することもできるようになっている。
大手サイトも含めて100社以上が導入した実績の中から、「ファーストビューは重要」といった定説を覆す結果が出た事例、セグメント分析してサイト改善につなげた成功事例などを紹介してくれた。
アクセス解析は難しい。パッと見て分かるツールが必要に
(以下、渡邊氏) 私どもは「ユーザーインサイト」というアクセス解析ツールを提供していますが、ユーザーの行動が一目で分かるヒートマップ機能が特長となっております。本日はその事例をご紹介させていただきます。
1つのサイトを運営していくにしても、マーケティング、事業担当、デザイン、システムと色んな立場の方が色んなミッションを持ってかかわっていらっしゃるかと思います。大きな組織になればなるほど、議論で対立して意思決定ができないといったことに陥っていらっしゃるのではないでしょうか。
そうなった時には、最終的な意思決定がどうなるかと言えば、偉い人の一言で決まりがちなのかなと思いますが、Googleの会議を効率的に進める法則として「社内政治を使うな、データを使え」というものがあります。Webサイトを運営して行くのなら、データに基づいて判断して行く必要があるのではないでしょうか。
ただ、データで判断するとしても、数値の分析が結構難しい。「アクセス解析は重要」と分かっていたとしても、とにかく数字が羅列してあって「何を読み取ればいいのか」と悩まされている方も多いのではないかと思っております。
医療では、医者に聴診器で診られたり、血液検査のレポートが出てきても、患者にはどこが悪いか分かりません。でも、レントゲンやCTスキャンで「ここが悪いんですよ」と示されたら、「あ、悪いのかな」と腑に落ちるのではないでしょうか。
インターネットもレントゲンやCTスキャンのように、数値ばかりでレポートを見るのではなく、パッと見て問題点が分かるツールが必要なフェーズになっている。私どもはそう考えています。
誰が見ても直感的に分かるユーザーインサイト
そんな考えから私どもが提供しているのがユーザーインサイトというツールになっております。こちらのファッションサイトで、女性3人が並んでいますが、どの画像が1番クリックされていると思いますか?
実際にどの画像がクリックされているか、ヒートマップで見てみますと、真ん中の画像がクリックされていると分かります。
真ん中が人気だったとしても、単純に真ん中だったからクリックされたのかもしれません。それなら場所を入れ替えて実験してみると、その仮説が正しいか分かります。こうした判断をする過程で、社内政治は要らないでしょう。
このようにユーザーインサイトのヒートマップ機能では、「どこがクリックされたか」「何%の人がどこまで読んでいるか」といったデータを、誰が見ても直感的に分かるようになっています。