従来型組織の終焉と新しい組織体制の構築
次に、組織体制についてだが費用対効果が厳しく問われる時代となり、旧態依然とした組織の改革が2010年は本格的に進むと青葉氏は予想する。
特に縦割りの組織構造は、今の時代にマッチしていないため大きく変わるという。その中でマーケティング予算に対する考え方も大きく変化していくようだ。
「誤解を恐れずに言えば、今までのマーケティング予算は『前年●●円使ったから今年はそれに5%上乗せして●●円』という考え方で決められていたケースが多いと思います。しかし、今後は『●●円売上を上げるので●●円の予算をください』という形で費用対効果ありきの予算編成となっていくでしょう。そして、経営者の多くは、『固定費』が嫌いです。代表的な固定費は人件費ですが、これまで多くの企業は、派遣・請負・契約などのさまざまな雇用形態を利用し人件費を変動費化することでコスト競争力を高めてきました。それが企業競争力の差として生まれるからです」
しかし、人件費の削減はもはや限界。そのため、今後はマーケティング予算の削減が本格的にはじまるとし、具体的にはアナログ広告から効果の高いネット広告へのシフトチェンジが大規模に起こり、驚くようなスピードで従来型のマーケティングが見直されると予想。その影響により当然、ヒト・モノ・カネの整理も進むはずだ。また、グーグルやヤフーに代表されるような広告テクノロジーはますます進化していくとし、想像を超えるような手法も生まれるのではと推測する。
「彼らの持っている情報は、膨大なマーケティング資産と言えます。大量の検索結果、あらゆるページの閲覧記録、地図情報、メール情報、ログイン情報、ブログなど、これらを統合して分析すれば効果的なアプローチが可能となります。今後の広告は、今やっているような単純な検索結果に連動する広告ではなく、より複雑な検索結果との連動、例えばGメールの文章内容、普段見ているサイト、よく行く場所(GPS地図情報)連動など、多少物議を醸しながらも想像を超えたターゲティングをし、大量の人にアプローチが可能になっていくでしょう」
現在のほとんどの組織は、高度成長期に構築された組織でありネットが存在しない時代に生まれている。不況の今、次代を見据えてマーケティングに関連するすべてのことを、再考し、再構築することは「デジタル社会における競争優位性を確保できる絶好の機会」(青葉氏)だという。
「進化している組織は、ネット関連のサービスや機能はプロジェクト化し、横断的に動き、全体最適を考えたマーケティングプランを作り出しています。『変化に対応できるマーケティング組織を再構築する』ことが多くの組織で必要なのではないでしょうか」