グーグルな人、ヤフーな人。検索動向も当然違う
ヤフーユーザーの動向を知るための「キーワードアドバイスツール」、グーグルユーザーの動向を知るための「Google AdWords キーワードツール」と、大手検索エンジン2社の検索数を知るための定番ツールがそろっていたのも今は昔。「キーワードアドバイスツール」のサポート終了となって以来、グーグルのツールだけに頼るマーケターの数も増えたのではないだろうか。
ただ、グーグル側の検索動向だけを見てWeb戦略を考えてしまうのは危険かもしれない。ネットレイティングスのレポートによると、主要検索エンジン9社の検索数のうち、グーグルが占める割合は38.1%。ヤフーの52.5%という数字は絶対に無視できない。
ヤフーとグーグルでユーザー属性は違っている。Eストアーが「グーグルな人ヤフーな人」という調査を何度か実施しているが、ほかの調査結果なども踏まえて両者のユーザー像をざっくり一言でまとめてしまうと、ITリテラシーが高くてインターネットに慣れているヘビーなグーグルユーザーに対して、よりライトなヤフーユーザー。当然その検索動向も違ってくる。
例えば、「通販」でグーグルの検索数を調べると次の通りになる。【注】
【注】本記事で触れている各サービスの検索数は2010年3月22日時点の結果となるため、現在の検索数と一致しない場合があります。
グーグルから「通販」で検索してみると、検索結果画面にはほかの検索候補として「ユニクロ 通販」「ヤマダ電機 通販」「ニトリ 通販」などが挙げられている。相当の検索数があるのだろうが、リストにはどれも含まれていない。
同様にヤフーでも「通販」で検索してみると、「通販生活」「通販 ファッション」「無印良品 通販」などが検索候補として表示される。必ずしも検索数の上位から表示されているわけではないだろうが、関連検索ワードとして掲載されるワードと検索数には、ある程度の相関関係はあるはずだ。
ヤフーの正確な検索数を知るところまで行かなくても、推測するための術は無いのだろうか。また、このようなブランド名の検索数まで把握していくためにはどうすればよいのだろう。代替案として提案したいのが、クロスリスティング提供のキーワードウォッチャーやFerretPLUS(フェレットプラス)など、ほかの検索数を調査するツールを併用するという手だ。
【参考情報】
競合ひしめく中でWebビジネスを成功させたいのであれば、キーワード調査、リスティング広告、ディレクトリ登録という3つの要素は外せません。クロスリスティングでは、これらの3つのサービスをトータルで提供しておりますので興味のある方はぜひサイトをご覧ください。「キーワードウォッチャー」「レモーラリスティング」「クロスレコメンド」
ポータルサイト利用=ヤフーに近しい属性?
安直な発想になるが、検索エンジンという性格の強いグーグルに対して、ヤフーは各種情報コンテンツも備えたポータルサイト。FerretPLUSは情報の出所を明かしていないが、クロスリスティングのキーワードウォッチャーはgoo、excite、BIGLOBEといったポータルサイトで本当に検索された回数がデータ元だ。
先に紹介したネットレイティングスのデータで集計すると、キーワードウォッチャーは主要検索サイトで行われた5.4%程度の検索クエリを参照しているという。
ということは、キーワードウォッチャーのデータ元もヤフーと同じポータルサイトということになる。ユーザー属性としてはヤフーに近いのではないかと想像してしまう。なお、仮にこの仮説が外れてヤフーとgoo、excite、BIGLOBEなどでの検索動向が実際にはズレていたとしても、5.4%程度のユーザー動向が追えている。ポータル、ISP系のサイトネットワークとなるためユニークユーザーの重複はほとんどないと考えて間違いはない。
年齢層は集計方法が違うので一概に比較できないが、キーワードウォッチャーの情報源のポータルサイトでは40歳以上が50.4%(参考:REMORA Listing媒体資料 P1「広告配信サイト年齢比率」より)。高年齢者層が多いように思われるが、ヤフーのインターネット利用者アンケート調査でも35歳以上が61%を占める(参考:第25回 インターネット利用者アンケート結果 - 年齢)。
ヤフー利用者に比較的高年齢者が増えていることを考えると、年齢帯は近しいと言ってもいいかもしれない。
実際にキーワードウォッチャーで「通販」の検索数を調べてみた結果は次の通り。
FerretPLUSでは次のようになる。
どちらも「通販生活」「ニトリ 通販」などのブランド名での検索数がリストに入ってきている。ヤフーやグーグルの関連検索ワードで表示されているワードがリストにかなり含まれていることが分かる。
既出のグーグルの結果とも比べて見よう。
ビッグワードの「通販」と「通販 ファッション」の比でみるとグーグルで約90:1だったのに対して、クロスリスティングが提供するキーワードウォッチャーでは約20:1【注】、FerretPLUSで約3:1となる。データ元がしっかりしている分、キーワードウォッチャーの方がFerretPLUSよりも実態に近そうな数字が出てきた格好だ。
「通販」のワードで見てきた限り、Google AdWords キーワードツールにはブランド名が含まれにくい。システム的にブロックされたり捕捉されにくかったりする傾向があるのか、あるいはグーグルユーザーの検索傾向なのだろうか。
【注】キーワードウォッチャーの場合、逆順の「ファッション 通販」の検索数(15,437)は別で表示されるため、実際には約30:1となり、Googleの結果により近くなる。
「通販」が例外かもしれないので、「FX」でも調べてみたところ、同様の結果になった。
FerretPLUSではビッグワードであるはずの「FX」の評価が過当に低いところも変わらない。サンプル数が少ないので断じるのは危険だが、以上の傾向は「通販」に限ったことではないようだ。
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細かいワード群から金になるワードを探し出す
Google AdWords キーワードツールにはもう1つ弱点がある。それはリストアップされるワード数が決して多くはないことだ。「通販」でサイトを考えるときに1つの切り口になりそうな「訳あり」で調べてみた。
本記事の執筆時点では、35ワードがリストアップされたが、カニ関連のものが多く、それ以外でどんなジャンルの商品で「訳あり」へのニーズがあるのか、把握し切れない。
対してクロスリスティングのキーワードウォッチャーでは100ワードまで、FerretPLUSでは255ワードのリストを入手できる。そのリストを見てみると、チョコ、家具、印鑑、化粧品など、多彩な商品で複合ワード検索されていることが分かる。
別のワードとして、例えばアフィリエイトへの出稿も目立ってきた「ブラウザゲーム」で調べると、グーグルでは8ワード、キーワードウォッチャーで38ワード、FerretPLUSで7ワードがリスト化された(記事執筆時点)。
このように、細かいワードの中から、美味しくて勝ちが狙えるワードを探し出そうというのなら、グーグル以外のツールも使うのが賢明と言えるのではないだろうか。
季節的要因の把握も忘れずに
キーワードウォッチャー、FerretPLUSは無料でも使えるツールだが、有料版を利用することで検索動向をさらに正確に把握できる。
有料版を利用するメリットとして、CSV出力機能、検索回数での絞り込みなどの機能があるが、特筆すべきなのは月間検索数の推移を調べられる機能が使えるようになることだ。Google AdWords キーワードツールには、この類の機能は備わっていないため、毎月の推移を調べるには毎月Excelなどにデータを落として行かなくてはならない。
例えば、今の季節だと「新生活キャンペーン」で家電・家具を販売する店舗も多いが、「新生活」の検索数は3月に向けて急増する。キーワードウォッチャーで見てみると、12月3,990回だったのに対して、1月7,072回、2月20,527回と明らかに違っている。
このように特定の季節に使えるワードを探したり、あるいは自社商品・サービスの季節的要因による需要変動を予測するのに、月間検索数の推移を調べる機能はかなり使える。
各ツールは一長一短。特徴に応じて併用するべき
ここまで見てきたように、キーワード調査を行う場合は1つのツールに頼るのではなく、さまざまなツールを使う方が賢明だ。
ここでは、Google AdWords キーワードツールを補完するためのツールとして、クロスリスティングが提供するキーワードウォッチャー、FerretPLUSを取り上げてきたが、この2ツールにも弱点はあるだろう。実際、FerretPLUSにはビッグワードの検索数が過小評価されがちという弱点が見つかっている。
正確なキーワードマーケティングを目指すなら、それぞれのツールを過信しないこと。石橋を叩いて、ほかのツールでの確認作業を怠らない方がいい。
特に、goo、excite、BIGLOBEといった大手ポータルサイトがデータ元となる、クロスリスティングのキーワードウォッチャーであれば、5%とはいえYahoo!、グーグルに続くポータルサイト群の検索動向が掴める。Google AdWords キーワードツールと併用する第1候補として考えてみるのは悪くないだろう。
また最後に補足情報となるが、クロスリスティングではリスティング広告サービスのレモーラリスティング(REMORA Listing)、ディレクトリ登録審査サービスのクロスレコメンド(X-recommend)といった、Webビジネスを展開する上で欠かせないサービスも展開している。キーワード調査ツールに対する考え方同様に、ヤフー、Googleに依存するのではなく、これらのサービスを利用することも検討してみてはいかがだろうか。
【参考情報】
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