巨大販売チャネルへと成長した『ベルメゾンネット』
50年以上の歴史を持つカタログ通販大手 千趣会。『ベルメゾン』のブランド名で知られる同社だが、ECサイト『ベルメゾンネット』を運営するEC事業者としての側面も持つ。今年から組織体制を変更し、全社的にECへの急速なシフトを進める同社に、ECとカタログ通販の違い、特にフルフィルメントに焦点を当て話を伺った。
千趣会では、インターネットにまだ好奇のまなざしが向けられていた1995年からデジタルコンテンツへの取り組みを開始。2000年にはECサイト『ベルメゾンネット』の運営を開始し、カタログに掲載しているほぼ全商品をECサイトで販売するようになった。
当初は「カタログの補完/注文ツール」としての性格が強かったEC事業だったが、2006年ごろから徐々に方向転換。カタログと連動せずにWebのみで販売する商品の開発などに着手してきた。現在では、会員数664万人を誇る巨大サイトに成長している。
ECサイト経由の売上も着実に成長を続け、2009年の売上高は671億円。カタログ事業全体の売上高1196億円に対し、56.1%を占めるほどになっている。当初は、カタログに掲載されている品番を入力して購入に至る「カタログ経由売上」が多かったものの、サイト上で直接商品をショッピングカートに入れて購入する「純ネット売上」が徐々に増加。2008年頃には比率が逆転し、現在では純ネット売上がカタログ通販事業全体の34.4%ほどになっている。
草分け的な存在としてECに取り組み、巨大な販売チャネルに成長させてきた千趣会だが、「インターネットへの取り組みは早かったものの、旧態依然の体制のまま進めていたため、総合モールなどに若干遅れをとりつつあった。今年からは、さらに急速にECへのシフトを進めています」とベルメゾンネット推進室の室長 梶原健司氏は語る。
千趣会では、今まで事業本部ごとに縦割りでインターネットビジネスを行っていたが、各事業部から挙げられる施策をサイト運営部隊が逐次対応していたため、施策実施時の判断精度やスピードがどうしても鈍くなっていたという。そこで、事業部ごとの施策を横断して管理し、全社的なECの売上と利益の最適化を進める司令部として今年1月から新たにベルメゾンネット推進室を発足。EC事業のさらなる拡大を目指して組織体制を見直し、急速にインターネットへの全社最適を進めていく構えだ。