認知と刈り取り。広告タイプを意識してコスト減でも成果維持
「広告費が半分になっても、パフォーマンスは半分にならないように調整できる自信があります」と株式会社Eストアー(以下、Eストアー)の店舗開発部 安達大輔氏(写真左)は胸を張る。この話は、費用対効果のよい媒体を上から半分残して、という簡単な話ではない。認知と刈り取りの広告露出を巧みにコントロールすることで、短期間であればコンバージョン(以下、CV)数をさほど落とさずに広告費だけを抑えられるというのだ。
EストアーはECサイト構築パッケージの「ショップサーブ」、レンタルサーバーの「サイトサーブ」などのサービスを提供しており、主なターゲットは法人だ。個人向けサービスと違い、法人向けサービスの場合、十分な検討が必要なことが多いため契約までには一定の時間がかかる。一般的に、サイトへの流入からリード接触を経て契約に至るまでに、それぞれ数週間、数か月の期間が必要になるケースが多いようだ。そのため、個人向けサービスを提供している会社とは違う広告運用ノウハウが必要となってくる。
Eストアーでは法人顧客の獲得のため、バナー、アフィリエイト、リスティング、メルマガ、記事広告などの広告を一通り試してきた。しかし、さまざまな広告を同時に展開してきたからだろうか、広告代理店から「この経路からこれだけCVにつながった」とレポートされる経路別CV数を鵜呑みにはしないとのこと。媒体ごとCV総計と実際のCV数とがかけ離れてしまうケースがあるからだ。検討期間の長い法人向けのCV数を単純に経路別に総計すると、実数の何割増し増どころの話ではなく倍以上ものインフレを引き起こしてしまう可能性もある。
「当社が提供しているサービスはSaaS(ASP)型ですので、実際に導入を検討している方もインターネットユーザーが多い。そのため、インターネット広告との親和性が高く、ネットで探してネット経由で資料請求や電話などをする方が多いので、ネット広告の経路をきちんと計測して管理したいという要望が社内には根強くありました」
本当の意味での費用対効果を測るために間接効果を把握したかった
アクセス解析ツールのオプション機能を利用して間接効果(アシスト効果)を測る、あるいは広告効果測定ツールを導入する、さらには自社で測定用のツールを開発してまで計測するなど、さまざまな手段を試してきた。しかし、結果はどれも一長一短。なかなか実数と数が合わなかったり、データが取得できていなかったりといった状態になってしまっていたという。
「会社の事情で、広告予算の見直しを強いられることもあります。また、競合も費用対効果を考えて今まで以上にネット広告を使っています。昔は広告費を増やせば増やすほど単純にCV数は増えましたが、最近では広告費を増やしたからといってCV数が増えるとは限らなくなってきていました。間接効果まできっちり計測するして、本来の意味での費用対効果を出すことは、以前から変わらない最重要課題の1つだったのですが、さらにクリティカルな問題になってきたと感じていました」
そんな問題意識を抱えていたEストアーがいくつかの選択肢を比較した結果、選んだツールは株式会社ビービットの提供する広告効果測定システム「WebAntenna(ウェブアンテナ)」だった。
【参考情報】
成約までの検討期間の長い商材こそ、間接効果をしっかり測ることが重要です。正確な間接効果の把握が可能な広告効果測定システム『WebAntenna』の詳細は、ビービット社サイトに掲載されています。興味のある方はぜひご覧ください。
導入サポートで2~3週間の作業も担当者は手間要らず
ほかの候補を抑え、WebAntennaが選ばれた理由はなんだったのだろうか。
「WebAntennaに決めた理由は、複数の広告代理店を管理する機能があったからです。多くの計測ツールを運用していると、ツールごとに測定用のパラメーターを発行し、広告代理店へ知らせるなど、作業が煩雑となり時間がかかります。しかし、複数代理店の管理機能を使うことで広告代理店にタグの発行から出稿までをすべて任せられるようになりました」
また、ビービットはWebAntenna導入に関して、導入のヘルプサポートまで対応してくれるという。Eストアーでは出稿量の多さから作業がある程度難航すると予想していた。しかし実際には、そうしたリプレイス作業は、ツール提供元のビービットが広告代理店と連絡を取り合いながら進めたので、導入完了まで安達氏の手間はほとんどかからなかった。
「このサポートはすごく助かりました。広告代理店に依頼したWebAntennaへの移行作業は2~3週間程度はかかっていましたので、それを全部自社で仕切っていたらと考えるとゾっとしますね」
そして、本来の目的であった間接効果も正確に測定できるようになった。
「今までのツールよりも全体のCV数を実数に近い形で取れています。これまで利用していたツールと比べて、精度はかなり高いと感じています」さらに、効果測定に使うツールをWebAntennaに一本化したことで、副次的な効果もあった。例えば、CVをセッションで取るのか、回数で取るのか、ユニークユーザーで取るのか、といったカウント方法は実はツールごとに結構違う。一本化したことで、共通のルールができ、ツール間の違いによるによるカウントの差がなくなり、より正確にデータを一元管理できるようになったという。
CRMとも連携。契約成立まで追い正味の費用対効果を追求
WebAntennaを導入してから、期待以上のツールの出来映えに驚かされたところもある。
「コンバージョンレポートはすごくよくできています。例えば、WebAntennaでは、サイトにいつ流入してきたか、初来訪からCVまでどれだけ時間が掛かったか、どんな広告を何回見てきたかといった情報まで見ることができます。また、CRMツールと連携させることで、営業側の情報とリンクさせることを試験的に行っています。例えば『これから営業する相手は慎重な人』『どのようなキーワードから資料請求をした人なのか』といった情報まで理解して営業をかけることもできるようになります」
さらに、ある広告経由でリードになった場合には、契約までどの程度のフォローを行ったか、といった分析もできるようになり、営業の人的コスト、対応の手間などの営業に関する費用も含めて正味の費用対効果を見ることができるようになるとのこと。営業時に取っている情報や契約後サポートの情報とクロスすることを考えると、理想的なマーケティングデータが作れる可能性もある。
このように、WebAntennaとCRMを連携させることは難しいことではない。見込み客の獲得から営業活動までを一気通貫で分析することで、プロモーションの参考にすることはもちろん、営業活動にも役立てていこうというわけだ。例えば媒体ごとにCVするまでに必要な期間が違う。他の要素と掛け合わせてCVまで時間が掛かると判断された見込み客は、長期的にメールなどでナーチャリング(顧客育成)してクロージングする、といった手段も考えていきたいという。
【参考情報】
成約までの検討期間の長い商材こそ、間接効果をしっかり測ることが重要です。正確な間接効果の把握が可能な広告効果測定システム『WebAntenna』の詳細は、ビービット社サイトに掲載されています。興味のある方はぜひご覧ください。
豊富な情報量を活かして、データからは見えないノウハウを
しかし、間接効果が計測できるようになっても、認知用の広告をカットするばかりでは先細りになってしまう恐れもある。Eストアーでは、認知用の広告と刈り取り用の広告のさじ加減を調整することで、成果数をさほど減らさずに費用を大きく抑えることもできるようになったそうだ。
また、初回接触の媒体を評価し正当な対価を払って露出を強化して、CV数の増加にもつなげている。ただ、それらの取り組みもWeb担当者の試行錯誤の末にできるようになったこと。当たり前の話だが、正確なデータを把握できるようになっても、データを活かせるかどうかは、担当者の取り組み次第だろう。
「WebAntennaのコンバージョンレポートはとにかく情報量が多いです。これまでは仮説、推測でしかなかったことも、すべてデータの裏付けが取れるようになりました。どのように分析して活用していくかはこれから考えてなくてはならないという課題もありますが、データからだけでは見えないノウハウを作っていける可能性を感じています。本質的にインターネットはオープンなメディアなので、広告の出稿量や入札価格といったデータは集めようと思えば集められます。個々の広告の運用も大事ですが、広告同士の動きを勘案した運用方法や、さらに広告から集めたリードを契約にクロージングするやり方といった“表からでは見えない会社独自のノウハウを貯めていくこと”が必要だと感じています」
豊富なデータを法人向けの商材でどう活かすか。腕次第のところもあるが、間接効果が見えるようになれば広告運用や営業活動の改善に大きなヒントになることだろう。
【参考情報】
成約までの検討期間の長い商材こそ、間接効果をしっかり測ることが重要です。正確な間接効果の把握が可能な広告効果測定システム『WebAntenna』の詳細は、ビービット社サイトに掲載されています。興味のある方はぜひご覧ください。