リンクのクリック数を解析するには
利用者のアクセスを記録して解析するタイミングとして、「クリック数の測定」があります。例えばWebサイトに広告を掲載する際の値段の決め方として、単に表示された回数を基準に値段を決めるのではなく、「1クリックいくら」とか、「何クリック保障」というようにその広告がクリックされて、そこから広告主のサイトへ利用者がアクセスした回数から値段を算出する場合があります。また広告が表示された回数と、クリックされた回数の比率を示すCTR(Click Through Rate)で広告の効果を測定する場合もあります。そういう場合はどうしても「その広告が実際に何回クリックされたのか」を記録する必要があります。
今回はそうした「クリック回数の測定」の手法を技術的な視点から、解説していきたいと思います。まずは前回までのおさらいを兼ねて、「リンクをクリックしてページを移動する」という行為が、システム的にはどういう作業になっているのか、つまりブラウザとサーバの間でどういうやり取りが行われているのかを見ていきたいと思います。
基本的にブラウザとサーバとのやり取りは、ブラウザがそのページにアクセスしたタイミングで行われます。そして、ページを表示するのに必要なデータ(HTMLや画像、CSSやJavaScriptなどのファイル)を読み込み終わると、サーバとのやり取りは終了してしまいます。そしてそのページ内にあるリンクがクリックされると、今度はリンク先のページのデータを保存しているサーバとのやり取りが開始されます。
掲載した広告でのクリック数の測定の場合、リンクが含まれる最初のページが「広告を掲載しているページ」、リンク先が「広告主のページ」ということになるでしょう。では、どうすれば、リンクがクリックされた回数を取得できるでしょうか。まず、リンクがクリックされても、そのリンクが表示されているページ(つまりリンク元ページ)を配信するサーバへのアクセスは行われません。したがって、素の状態でリンクが張られているのであれば、広告掲載元ではリンクのクリック回数を取得することはできません。それに対して、広告主のサイトでは、リンクがクリックされた結果、アクセスが生じるわけですから、クリックされた回数はカウントとして得ることができそうです。
もちろん、単にその広告主のページへのアクセスをカウントするだけでは駄目です。なぜならそのページには、他のページ(例えば同じ広告を出している別のサイトなど)からもリンクされている可能性がありますし、URLを直接入力したり、検索エンジンなどからの流入もある可能性が高いからです。
そこで、利用するのが第4回で解説した「リファラー情報」です。リファラー情報には、リンクをクリックしてアクセスがあった場合には、リンク元のページが入っています。クリックの測定にいかにもぴったりな情報です。リファラー情報は、検索エンジンからのアクセスの解析にも大きな力を発揮しますが、クリックの測定も検知できるわけです。つまりそのページのアクセスのログの中から、リファラーが広告を掲載しているページ(2つ以上あるのであれば、それらを別々に集計できるでしょう)のURLになっているページだけを抜き出して集計すれば、クリック数がわかるのです。
ただし、この方法には、いくつかの問題があります。まずひとつ目の問題は、この解析ができるのは、広告主のサイトのログからだけという点です。つまり、広告を掲載している側のサイト運営者や、もしくは広告主と掲載側の間に入る広告代理店などは、クリック数のカウントができないことになってしまいます。また、広告主にとっても、クリック数で広告料が発生するタイプの広告は、自分でクリック数がカウントできないと出稿できない、というのもかなり障壁の高いものになってしまいます。
また、もうひとつ問題となるのは、第4回でも述べたように、リファラー情報は、必ず送らなければならないものではなく、ブラウザによっては、リファラーを送らない設定にしたり、セキュリティソフトがリファラー情報を削除してしまう場合もあります。特に携帯電話の場合はほとんどがリファラー情報を送ってきませんから、携帯向けのページの中に埋め込んだ広告は、クリック数が数えられないことになってしまいます。そうでなくても、「おおよその傾向」を計ればいいアクセス解析の場合と違い、料金と直接絡むクリック数が「場合によっては検知できない」ということでは、ちょっと困ってしまいます。ということで、リンク先ページのアクセスログと、その中のリファラー情報だけを利用してクリック数を数えるのは、なかなか難しいことなのです。
リダイレクトとクリック数の関係
そこで、クリック数を数えるためによく利用されているのが、「リダイレクト」という方法です。