ソーシャルメディアマーケティングはBtoB企業でも活用すべき?
―― ソーシャルメディアというと、BtoB企業には不向きだというイメージがあります。SAPの成功が特別というわけではなく、一般的にBtoB企業に利益をもたらすものなのでしょうか?
もちろんです。これはソーシャルメディアマーケティングを検討し始めた時に、SAP社内でも挙がった質問でした。「B2B企業にソーシャルメディアは向いているのか」と。この質問に答えるために、まず、私のチームでオンライン上のどこで、どのようにSAPに関する会話が行なわれているかを調査しました。その結果、ソーシャルメディアで行われている活動数は、驚くほどのものでした。
一部のブログやLinkedIn(リンクトイン)のグループは予想していましたが、驚いたのはツイッターとfacebookでの動きでした。調査時、ツイッターには22以上のSAP関係のアカウントが存在し、facebookには17以上のSAPファンページが存在していました。YouTubeでも関連した内容のビデオをかなり見つけましたが、どれもオフィシャルチャンネルのものではありませんでした。
この調査で、SAPに関係した活動は既にソーシャルメディアで広がっている事、そこに参加して市場が持つ興味を育てる必要がある事を理解しました。ビジネスの形態に関わらず、顧客が取る行動を理解し、適切な場面で交流を持ち、できるだけ利用するのが成功のカギです。

―― SAPのような大規模の検索とソーシャルメディアプログラムを管理している人々に、アドバイスをお願いします
いろいろな分野のキャンペーンを統括し、しかも複数の市場をカバーするプログラムを管理するのは、楽な仕事ではありません。SAPでは、次の5つを企業/ワールドワイドプログラム管理の要にしています。
企業やキャンペーンの対象市場にいる人々が誰なのか、その人々がオンラインのどこで交流を持っているのかを明確に理解します。
すべての行動は、ビジネスの目的や目標を達成するためのものであるべきです。目的が決まれば、それに合わせて検索やソーシャルメディアに対する行動を設定します。全体的により良い成果を上げるためには、マクロとミクロのコンバージョン指標を合わせて、目標を設定する必要があります。
対象市場の人々と目的が決まれば、それに合わせてキャンペーンの全体的な戦略を考え、到達するためのステップを決めます。このステップは簡単に踏めるように細かく設定します。そして、このステップと戦略を、各チームで揃って展開します。
利用するツール(技術)は戦略を可能にするためのもので、戦略を制限するものであってはいけません。
常にすべてをモニターし、目標達成と成功のために、必要に応じて変更を加えプログラムを洗練します。
ソーシャルメディアマーケティングには専門のチームが必要です。以前は、試験的な短期のキャンペーンしか実施できませんでしたが、専門のソーシャルメディアマーケティングチームを設置してからは、検索の戦略にソーシャルメディア施策での動きを取り入れたり、検索データを基に選び出したキーワードをソーシャルメディアに利用するようになり、両方のマーケティングで成功しています。検索広告、facebookのリンクやツイッターのつぶやきなど、あらゆる場面でキーワードを使用しています。
インタビューを終えて
Googleのリアルタイム検索には、ツイッターやfacebookのファンページ情報も表示されるため、ソーシャルメディアにキーワードを取り入れるというのは、検索でも効果が期待できそうですね。
企業にとってのソーシャルメディアというと、ツイッターやフォーラムなどのコメントから自社や競合の評判を調査したり、ブログやプレスリリースへの記事リンクを通知したりというのが一般的な利用法だと思います。しかし、今回インタビューを行ったSAPのように、取り組み方次第でコンバージョンアップに繋がる事例も生まれています。今後、本格的に予算を組んで取り組む価値があるマーケティング手段として、成長する可能性を感じたインタビューでした。