過去5回、東京で開催されている『MarkeZine Day』が9日、ついに大阪で開催された。
近年、EC・ネット通販市場が拡大傾向にあり、ネット上でビジネスを展開したいというニーズは高まりつつある。また、Twitterなどの新たなネットサービスが次々と台頭しており、そのサービスをビジネスにどう活用するのかという関心は高い。
こうした気運が全国的に高まる一方で、具体的な手法・ノウハウを共有する場は企業数が多い関東圏に集中しており、地方企業の広告・マーケティング担当者、Web・EC担当者が情報を得る機会はあまり多くないのが現状だ。こうした背景から、今回のMarkeZine Day 2010 OSAKAの開催が決定。あいにくの雨天だったが、会場は満席となった。
講演は13時からスタート。ヤフー株式会社 広告本部マーケティング部 マネージャー 河田顕治氏がトップバッターを務め、検索連動型広告に関する全体的な動向やスポンサードサーチの活用事例、そして今後の注目トピックについて語った。
河田氏は冒頭に、検索ニーズの高まりと検索連動型広告市場が拡大した背景について触れ、「ユーザー(検索者)に合わせた広告メッセージを発信できる広告手法が、検索連動型広告」であると説明。ユーザーへの適切なアプローチができる手段として、多くの企業に活用されてるとし、同社が提供する検索連動型広告「スポンサードサーチ」の活用事例を紹介した。
今回、紹介されたのは三和メッキ工業株式会社の事例。三和メッキ工業は、メッキ加工を中心とした事業を展開しており、スポンサードサーチを活用することで販路拡大に成功している。運用方法の中でも、キーワード選定には同社独自の工夫が凝らされているという。
「同社の事例で興味深い点の1つが、キーワードの選定方法です。スポンサードサーチを運用する中で、『剥離』『密着不良』などのネガティブワードでの検索数が多いことに気づき、成果を高めることに成功しています」(河田氏)
一般的に、出稿主が選定する場合、ポジティブなキーワードを選びがちだが、成果を確認していきながら新しいニーズを発見し、最適化につなげた事例だと言える。検索連動型広告ではユーザー(検索者)の意図がダイレクトに分かるため、今回の事例のように自分たちが気づいていないニーズを知る機会も多いという。なお、三和メッキ工業株式会社の事例は、Yahoo!リスティング広告サイトでも紹介されている。
河田氏は今後の注目トピックとして“API(アプリケーション・プログラム・インターフェース)を活用した広告運用の効率化”と、“各マーケティング手法ごとの収益に対する貢献度(アトリビューション)の算出”を挙げた。
最後に、注目トピックとして挙げた貢献度の算出について、「あるキーワードから資料請求が起こったとしても、その段階ではまだ収益はあがっていません。例えば、その後に電話をかけてフォローするなどして最終的な成約につながります。つまり、収益を起点にして、マーケティング活動全体の施策の中で、どの施策がどの程度収益に貢献したのかを測る視点を持つことで、より効率的で効果的なマーケティング活動が実現できるのではないでしょうか」と語り、講演を締めくくった。なお、各講演の詳細レポートは後日アップしていく。
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