大人気ソーシャルアプリ「ぼくのレストラン」運営会社 シンフォニー
ソーシャルゲーム群雄割拠時代。日々新しいゲームが更新されるなかで、ユーザーの目にとまり、さらに遊び続けてもらうのは至難の業だ。そうした厳しい状況下で、「ぼくのレストラン」は勝ち組アプリの1つだといっていいだろう。ミクシィアプリとしてリリースされると、わずか13日で50万人ものユーザーを獲得。続いて「ぼくのレストラン2」もリリースし、2010年10月現在、ユーザー数は200万人を超えている。
「ぼくのレストラン」はその名のとおり、ユーザーが自らの店を持ち、SNS上の友人とコミュケーションなどを通じて、素敵なレストランに「育成」していく課程を楽しむゲームだ。レストランを充実させる手段の1つとして、実在する飲食店のレビューを掲載する「食べ歩き機能」がある。これこそが、「ぼくのレストラン」が他のソーシャル ゲームとは一線を画するところだ。
「ぼくのレストラン」はどのようなコンセプトで作られ、今後どのように発展していくのか。制作・運営を担う株式会社Synphonie(以下、シンフォニー社) 代表取締役 公文善之さんにお話をうかがった。
ソーシャルアプリはあくまで1つの手段 「世の中に役立つサービスを」と起業
シンフォニー社は、ヤフー株式会社出身の公文さんと安徳孝平さんの2人で立ち上げた会社で、2人が代表取締役を務めるめずらしいスタイルを とっている。2009年6月に創業してから現在までに「ぼくのレストラン」をはじめ、複数の携帯電話向けソーシャルゲームを制作・運営してきた。
「世の中に役立つサービスを作りたくて起業しました。まずはソーシャルアプリの分野で何かを始めようとリサーチを重ね、いまいちばんうまくいっているのがゲームだったので、まずはゲームで行こうと。グルメ情報サイトのレビュー機能と、レストラン育成ゲームを結びつけたら面白いんじゃないかという発想から『ぼくのレストラン』ができました」(公文さん、以下同)
表面上はゲームだが、グルメ情報を中心としたコミュニケーションツールとしても活用できる。そのせいか、グルメ情報に敏感な若い女性がユーザーの6割を占めているという。
とはいえ、ネット上にはすでにいくつものグルメ情報サイトがあり、有名どころには情報が殺到し、さらに巨大なサイトとなっている状況だ。あえてそこに挑んだ理由について公文さんは、「今は情報が増えすぎて、目的のものが探せなくなっている」と語る。
「SNSでは、友人の人格を介して情報を得ていると思うんです。ほとんどのユーザーは、『友人Aのaについての情報は自分にとって意味がある、友人Bのbについての情報は自分にとっては意味がない』と、無意識で情報を分類できる。この仕組みをうまく使って、たくさんのクチコミ情報の中から、自分に意味のあるものだけを吸い上げられるようにしたいと考えました。さらに、ゲームであれば、普段はレビューをしない人でも、ゲームを進めるために始める可能性が高い。それが『ぼくのレストラン』の強みです」
SNSであることが情報の精査に役立ち、ゲームであることがレビューを促進する。「ぼくのレストラン」は、グルメ情報サイトが次のステップへと進化したソーシャルアプリなのだ。(次ページへ続く)