先進的な企業というイメージのアドビ システムズだが、4年前には「デジタルマーケティングに力を入れていなかった」という。そんな状況に驚いた、アドビ システムズ コーポレート マーケティングおよびコミュニケーション担当上級副社長のアン・ルネス氏は“100%デジタル”というスローガンを掲げ、マーケティングのデジタル化を推進。結果、現在はマーケティング予算の74%をデジタルに割いている。アドビ システムズのマーケティングはどう変わり、現在はどんな取り組みを進めているのだろうか。
100%デジタル化以外、ありえない
「私がアドビ システムズに移ったのは4年前。アドビ システムズは、Webをデザイン・マーケティングするサービスを提供している、ソフトウェアの会社なのに、当時はデジタルマーケティングに力を入れていなかった。それが私にとっては驚きだった」。このように話すのはアドビ システムズ コーポレートマーケティングおよびコミュニケーション担当上級副社長を務めるアン・ルネス氏だ。
コミュニケーション担当上級副社長 アン・ルネス氏

前職のIntelで数々のマーケティングキャンペーンを統括してきたルネス氏は、アドビ システムズへの移籍後、“100%デジタル”というスローガンを打ち立てた。デジタルマーケティングに慣れていなかった社内を説得しながら、徐々にデジタルにシフトさせようとしたのだ。ルネス氏の取り組みにより、現在ではマーケティング予算の74%をデジタルに投下するようになっているという。
アメリカの大企業(売上高が2億5000万ドル程度かそれ以上)が、デジタルマーケティングに投じる予算は13~18%。「それに比べると、アドビ システムズがこの領域に使っている予算は平均値より高い」とルネス氏はその成果を披露する。アドビ システムズはなぜデジタルに予算をシフトしたのだろうか。その背景について、ルネス氏は次のように説明している。
「まず1つ目の理由としては、我々の持っているテクノロジーを、自ら使って模範を示したい、という点がありました。2つ目の理由には、お客様とのさまざまな対話を強化できるという点が挙げられます。お客様からの情報を吸い上げ、こちらからの情報発信をより密にできるようになるわけです。3点目には、測定が可能であるということ。お客様との対話を効果的・効率的にできるだけでなく、しかもそれを測定可能であるというところに優位性を見出しています」
オンライン化でリアルでは不可能な66万5000人を動員
アドビ システムズがデジタルマーケティングに注力している証左の1つとして、今春リリースされたAdobe Creative Suite 5(CS5)の製品ローンチの際、オンラインイベントを打ち出したという事実がある。
社内ではライブイベントの数が減ることに懸念の声が挙がったが、ルネス氏は「より多くの方々にリーチできるオンラインイベントもぜひやっていくべき」と考え、オンラインの必要性を主張。特定層にリーチするライブイベントと、デジタルメディアを介してより多くの人々にメッセージを届けられるオンラインイベント。双方を組み合わせることが戦略として一番正しいのではないか、と考えたという。
1週間前から自社サイトで事前登録を募ったところ、22万5000人が登録してくれた。ビデオはイベント前に撮影し、幹部による製品紹介、使用感に対するユーザーの感想、実際の製品の機能説明、といったコンテンツを準備。ローンチから2~3日間のうちに、それらのコンテンツを視聴したユーザー数は221カ国でなんと66万5,000人。30分間のライブイベント中にTwitterでつぶやかれたTweetの数は3万7,000件にも上ったそうだ。
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中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)
ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。
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