ページネーションは本当にSEOの「魔法のテクニック」なのか
以上、一般にSEOの世界でページネーションを検討する場合に、念頭に置かれている目的について列挙してきた。
これらが仮に真実であるならば、ページ/リスト分割とページ送りのナビゲーションを組み合わせたテクニックは多くのメリットをもたらすであろう。具体的には、サイト内検索またはタグクラウドを導入し、検索でヒットさせたいキーワードの数だけリストページを作成してしまえば、簡単に検索流入を増加させることができる。

実際、まだ「Web 2.0」という言葉が流行っていたころ、米国のとある大手ブログ系メディアは、この方法を駆使してGoogleから大量のトラフィックを獲得することに成功していた。また、あるサイト内検索システムを導入していた企業も、テールワードの対策に成功していた。
しかしながら、これらはすべて「過去のお話」である。残念ながら今日は、これらの方法論や実装方法は、必ずしもすべて正しいわけではないので、注意してほしい。
その理由を3つほど挙げてみよう。
検索結果をクリックした先のページが検索結果であることは良いことではない
まず第1に、検索エンジン(Google)は、『検索結果をクリックした先のページが検索結果である』ことを決して良いとは考えていない、ということだ。先の米国企業の例は、まさにそのやり玉に挙げられたケースである。
Googleである話題に関心があって検索しているのに、その先が検索結果であってはユーザーのサーチ・エクスペリエンスを大きく損なうことになる。だからランキングアルゴリズムの改良によって、そうそう上手くはいかなくなったという背景がある。
Googleはページネーションで分割したページをすべてクロールするわけではない
第2に、目的 (3) で挙げた「コンテンツ数量の水増し」は5年前ならともかく、今日は通用しない。後述するように、Googleはページネーションで分割したページをすべてクロールするわけでも、インデックスするわけではないのだ(詳細は後編で)。
検索結果のページネーション処理方法はサイトによって様々
第3に、検索結果のページネーションの処理方法は、サイトの規模や事業内容、取り扱っている情報の性格、その情報を掲載しているページが永続的/一時的であるかなど、多数の変数によってベストプラクティスは変わってくる。
たとえば、商品点数が300点程度のECサイトと、無数のQ&Aコンテンツを持つ「Yahoo!知恵袋」、多数のコラムを持つ「MarkeZine」が(SEOの最適化度合いを最大化するために)同じ実装方法で本当に良いのだろうか。もちろん答えはNo.だ。
筆者はSEOに15年ほど携わっており、日本のみならず海外の超巨大サイトのSEOの運用現場も見てきているが、ページネーションは特に規模が大きなサイトほど、実装に頭を悩ます課題の1つだ。インハウスでSEOを担当されている人にとってはさぞ難しい問題であろう。
そこで後編では、いくつかのパターンに分けて、どういう実装方法が考えられるかについて紹介していきたい。筆者が紹介する回答は、あくまで1つの参考に過ぎないので、回答そのものよりも、その結論を導き出すプロセス・思考方法を参考にして頂きたい(後編に続く)。