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四家正紀のネオコミュニケーション遊談

Levi'sジーンズとJ-Streamの意外な共通点~動画配信サービスは現代のゴールドラッシュ?~


有料課金モデルへの挑戦

古株
有料課金は、翌年の中山美穂さんですねぇ。中野サンプラザからLive中継。
四家
画期的ですよね。ネットのPPVですもんね。
古株
そうそう。課金はBitCash。中山美穂BitCashカード作って、1000円のBitCashカードを2000円で売ってました。つまり中山美穂さんの写真が1000円。Speedのカードも作りましたよ。PPVの料金は500円。
四家
そんなに高くない気もしますが、まあ画質もまだまだですし。
古株
ただ、この有料コンサートは業界初ということもあり評判でした。
四家
有料ということで、緊張しませんでした?
古株
当然緊張しまくり。で、気をつけたのは「見えなかった」っていわれたとき。
四家
ですよね。
古株
すでにオン・デマンドの実験を始めていた頃だったので、やろうと思ったんですけどまだダメということで。翌日に時間を決めて、VTRを再生してそれをLiveエンコーディングで配信してました。しょぼいでしょう。当時、その方法は、テープLIVEとよばれていました。
四家
まあそれが安全確実だったんですね。たぶん。有料だし。
古株
そのあと、お客さんからの要望もあるので、オン・デマンドサービスをやりましょうと株主を説得して、はじめるわけです。
四家
音楽をネットで配信するとなると気になるのは著作権ですが、アーチスト直で、しかもストリームだと著作権処理も難しくない?
古株
これは、事務所に直ですからね。大丈夫でした。
古株
ちょうどこのころにMicrosoftがNetShowなるプレイヤーを出し始めるわけです。その後、NetShowはバージョン6になってWindowsMediaPlayerとなります。これは良くできてまして、Microsoftが本腰を入れ始めたことの現われでした。
四家
はいはい。そうでした。
古株
一方ProgressiveNetworksは、ReanNetworksに社名変更していました。ここからReal対Microsoftの状態になりました。
四家
まあ、それまでRealばっかりだったし。QuickTimeや、他にもいろいろありましたけどね。
古株
お客さんのことを思えばWMP対応は必須なのですが、株主にRealがいるので説得するのは大変でした。
四家
ですよね。戦争しているわけだから。
古株
で、オン・デマンドとWMPとQuickTimeの対応をセットでOKしてやり始めましたこれで、正面切ってMicrosoftにいけるので、Microsoftにいってパワーポイント(PPT)プレゼンテーションの連動ものをつくるわけです。
四家
セミナーなどビジネスニーズに対応できると。
古株
いま流行のPPTと講演者が両方で来るヤツを開発に着手して、WMP6。4でそれが完成。
四家
あれ最初びっくりしましたよ。それまでもWebブラウズとストリームが連動するのはあったんだけど。講師の映像音声とパワーポイントのプレゼンがシンクロして。
古株
そうそう、それです。MicrosoftはこのためにPPTとかExcelの画面が綺麗にWMPに表示される専用のプロトコルを作るんです、なんだっけなぁ、スクリーンキャストかキャプチャーってやつ。あれ作るのに、一番面倒臭いのは、動画のタイムラインとPPTをめくる時間を合わせること。
四家
うわ面倒臭そう。
古株
これだけは、実時間でエンコーディングしないといけないので、ほんとめんどっちいやつです。
四家
1時間のセミナーなら最低1時間。
古株
そう、アナログだし。でも、今でも多くの場面で使われてますからね。さらにビジネスユースできっかけになったのは、金融ビッグバンですね。
四家
あ、証券か!
古株
オンライン証券が一斉に出てきたとき。どうやって、操作するのかとか、どうやって買うのとかをビデオで説明したいというニーズに応えました。有名な証券会社4つはみんなお客さんでした。
四家
なるほど、チュートリアルですね。大和証券の社内スタジオは見せていただいたことがあります。じゃあ芸能コンテンツから入ったJ-StreamがMicrosoftの技術を生かしたコンテンツでビジネスに出て、証券会社を初め顧客を増やしていったと。
古株
そうそう。このあとは、DRMだとかアクセス制御だとかやるんですけど基本はこのあたりに確立したんじゃないでしょうかねぇ。

実は「シャベル」と「バケツ」を売っていました

四家
権利問題に触らないビジネスでここまで拡大していたんですね。
古株
権利問題は、J-Streamだけじゃ解決できないですからね。動画配信サービスっていう金を掘りたい人がいっぱい出てくるから、シャベルとバケツを売ろうと。権利処理は、金を掘りたい人にやってもらおうと思ってました。
四家
ある意味、東京タワー? 権利問題は放送局がやるからと。
古株
そう。ただ、東京タワーは一本だから、携帯電話のアンテナみたいな感じをイメージしてた。
四家
ああそうか。あちこちにアンテナを。
古株
本数は20本ぐらいですけどね。アクセスの集中するところに立てると。
四家
ただ、多くのネットビジネスがそうだったんですがインフラの先行投資が重過ぎてつらくなる。
古株
そう。だからネットワーク代はセン持ってるキャリアを株主にして最も安く仕入れてる。
四家
あと、J-Streamはビジネスモデルが広告依存じゃないからまだ良かったところもあると思うんですが。
古株
広告やるのは、広告やると効果があることを仮説を立てて説明する必要があるから。
四家
まったくそのとおりで。
古株
で、仮説を証明して価格の妥当性を納得してもらわないと。
四家
なかなか納得してくれなかったなー。僕が広告売っていた頃は。
古株
そうなんですよねぇ。なので、金を掘る人にシャベルとバケツを売るのが確実と思ってました。
四家
うう、なんだか羨ましくなってきた。
古株
でも、パケットあたりの単価は確実に下げ方向に働くわけで、これが、今後の課題でしょうねぇ。
四家
まあインフラは常にそうですよね。
古株
そのぶん、帯域も増えるし、CPUパワーもあがるとはいいますけど、それでも今のコストで、HD-DVDの映像を配信すると20Gとかになるので、けっこうかかります。

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この記事の著者

四家 正紀(シケ マサノリ)

株式会社カレン次世代ビジネスリサーチ室長。インターネット広告の草創期からWebマーケティングに携わり、現在はカレンにて次世代販促コミュニケーションについての研究活動と、ブログマーケティング・ブロガーリレーションズ案件のプロデューサーとして活躍。寄稿、講演多数。 ブログ カレン次世代ビジネスリサーチ室ブログ

著書

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/07/05 11:33 https://markezine.jp/article/detail/1361

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