SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

四家正紀のネオコミュニケーション遊談

Levi'sジーンズとJ-Streamの意外な共通点~動画配信サービスは現代のゴールドラッシュ?~


1848年ごろにアメリカのカリフォルニアでゴールドラッシュが起こった際、金を掘っている人たち向けにジーンズを売ることで、Levi'sジーンズは成功への道を掴みました。同じく、「動画配信サービス」という「金脈」を掘りたい人たち向けのサービスを展開し、成長したJ-Stream。「インターネット×映像」の可能性を信じ、突き進んだ古株氏がたどり着いた先は上場というひとつのゴールでした(Vol.1、Vol.3、 Vol.4もどうぞ!)。

遊談相手
古株均
古株均(こかぶ・ひとし) 株式会社J-Stream取締役副会長
(株)アスキー、ノベル(株)を経て、トランス・コスモス(株)入社。1997年5月Jストリーム設立と同時に取締役副社長に就任。営業と新規事業開発を担当。現在はクロスコ株式会社で代表取締役を務める。

総理大臣効果で徐々に認知が広まる

古株
そのうち、NTT、当時NTTのマビ開(マルチメディアビジネス開発部)が文部省といっしょに、学校にネットを普及させるプロジェクト「こねっと・プラン」ってのをやってて、小室哲也さんなんかが参加してしてたんですが。
四家
ありましたね。こんな曲も懐かしかったりしてYOU ARE THE ONE- Wikipedia。
古株
それそれ。で、その一環で、当時総理大臣だった橋本龍太郎さんと小学生をネットで結んで対談させる「総理大臣と話そうマルチメディア教室」という企画が持ち上がり、J-Streamで配信を受け持つことになりました。これが1997年8月ごろで、J-Streamのストリーミング売上第一号です。
四家
おお、マビ開だったんですね。
古株
そうそう。この当時は、もう説明に行くときには、NotePC3台と馬鹿ハブとLANケーブルもっていってましたねぇ。説明の20分前に部屋に入れてもらって、サーバとクライアントの関係作ってデモするの。
四家
そもそもPCがオフィスにあんまりなかったですからね、当時は。相手がPCメーカーでもオフィスには置いてないから、こっちがPC持って行ってデモしましたから。
古株
そうですよねぇ。デモの画面はマッチ箱半分ぐらいの大きさで20Kbpsの動画が見える。
四家
20kbpsだとざらざらでしたよね。
古株
そうそう、ざらざらです。でも、デモすると、へぇーパソコンで動画が見えるんだということは理解される。
四家
僕も当時、ちっとも売れないネットラジオや動画コンテンツの広告売ってました。客先でデモしても、あー音聞こえるんだー。動画見えるんだー。ふーん。
古株
そうなんですよぉ。クライアントとかサーバとか、帯域とか絶対に理解してもらえない。とにかく、ちょっとPC知ってる人でも帯域の話はまず無理。
四家
帯域。わかんないだろーなー。
古株
で、そのうち総理大臣効果から、ちょっとずつ、仕事をもらうことになりました。社長の挨拶中継とかね。
四家
なるほど。前は衛星使ってよくやってましたよね。
古株
まあインターネット放送は、見てる人より、出てる人のほうが多いことが多いというか。
四家
だって僕も出てましたもん(笑)。インプレスが社員集めて毎週ラジオやってて、ゲストで何度か出演しましたよ。聞いていたのはたぶん数十人かなあ。
古株
当時一番流れてびっくりしたのはインドネシアからの日食中継で300ストリームぐらい出てましたね。
四家
あーありましたね。みんな別に日食なんか興味ないんだけど、ネットで中継すると聞くと、見に行く人が増える。
古株
あとはね、IBMとフジテレビのISPでなんだっけなぁ。
四家
あった、あった。FFNet 。まだそのころは「People」かな。元はパソコン通信で、ThinkPadの中に専用ソフト入ってましたね。
古株
そこが、オスカープロモーションと組んで、メディアガールズってのをつくったの。シェイプアップガールズとかの後継というか。
四家
うわ、覚えてない。
古株
当時あったインターネット放送局「STATIONGAIA」から、そのメディアガールズの番組をJ-Streamが配信するわけ。夜11時ごろから。ようやくテレホーダイがはじまったから。
四家
いまの若い人はテレホーダイも知りませんよね。夜11時から電話が定額制になるので、その時間からみんなネット接続していたのです。
古株
その番組のログ見てると、go.jpドメインとかけっこうあって。
四家
go.jpから国費でメディアガールズみていたと。
古株
きっと、ログ取れるって知らなかったんだろうねぇ。
四家
ふふふ。

伝説!SPEEDのコンサートを全13チャンネル同時配信

古株
まあ、このようなことをしつつ、ついに12月23日いまだに破られていない記録が生まれます。
四家
お、なんでしょう。
古株
当時、EPSONはSPEEDという4人組の女の子を使ってました。
四家
おー! 思い出した!
古株
で、FujiTVの夕方の生放送特別番組をネットでも生中継。テレビとネットの融合第一号です。
四家
僕は直接見てないんだけど、SPEEDの話はずいぶん広まったような。
古株
当時、SPEEDは『WhiteLove』が大ヒットしてて、SPPEDの4人のフジテレビの番組で特番組むので、そのコンサートをLiveエンコーディングして全13チャンネル同時配信、というのをやりました。もちろん、テレビでも見れるんですけどね。これは、すごかったですよ。NTTPCコミュニケーションズのデータセンターから大手町のNSPIXP2に向けて、キャパ100Mのところへ、なんと84Mのトラフィックが押し寄せました。全部SPEEDです。
四家
IXごとジャックしちゃったようなもんですね。テレビでも見られるんだけど、あえてネットを見に行く人が集まった。
古株
そうそう。Webサーバは13台用意して、ストリーミングサーバは、ばんばん唸りを上げるし。
四家
それは大変。
古株
当然、NTT-PCから会場に来てるエンジニアの人には、ISPからなにやってんだおまえら、のクレームが入りまくり、だって、仕事のWebとかメールとか止まるんだもん。
四家
うわー。
古株
しかも夕方ですから。もう一夜にして、ストリーミング=悪者、の図式が完成。
四家
わははは。
古株
でも有名になりましたねぇ。これで。
四家
おもしろいのは、hiroが好きーとかだったら、まあテレビ見ればいいわけで、みんなネットで何が起こるのか体験したかったわけですよね。
古株
そうなんだと思う。
四家
電話代払ってダイヤルアップして、マウスで、ばしばしボタンたたいて。
古株
13CHにしたのは、テレビ局の副調整室のスイッチャー機能をデスクトップに持っていくってことだったの。一般視聴者のデスクトップに。
四家
それは凄いことですね。見るほうが映像を選べる。
古株
この入り口のページのURLはエプソンのカラリオを買わないと教えてもらえないの。おかげで、このイベントの前の週に秋葉からカラリオが完売したんだよ。
四家
みんな自分でテレビを操作したくてプリンター買ったんだ! ものすごい販促キャンペーンですね。
古株
この13チャンネル同時配信は、いまもJ-Streamの最大記録です。
四家
なるほどー。
古株
13チャンネルの内訳は、SPEEDが4人なので、ひとりずつの映像が40kbps×4と20kbps×4・スイッチング済みの映像が 40kbpsと20kbps・テレビに出ない特別映像も40kbpsと20kbps、それと音声のみ。これで合計13。エンコーダ13台と大量のネットワーク機器を運び込みましたねぇ。あと、ログが取れるので、4人のうち誰の映像が一番アクセスが多いとか、すぐにわかる。これは使い方によっては面白い。なるほどねぇーと思いました。
四家
各メンバー専用のカメラと、全体のカメラと、特典映像のカメラだから最低6台のカメラからの映像をライブエンコーディング、それも2本。…しかし当時のインフラでよくそこまでやりましたね。
古株
まぁねぇ、あれは面白かったです。
四家
あれですね。SPEEDが四人だったというのがでかいですね。
古株
そうですよねぇ。いまでもSPEEDには感謝してます。
四家
ピンクレディーじゃ二人だから大したことないし、モーニング娘。では多すぎて処理できない(笑)。
古株
これで芸能系には、Streamingは無事認知されたて、このあとから、ときどき配信の話をいただくようになりました。で、Yuming(松任谷由実)の苗場コンサートは7年ぐらいJ-Streamがやってます。
四家
この前のパーティでも、松任谷正隆・由実ご夫妻ともどもビデオメッセージで思い出を語ってらっしゃったのが印象的でした。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
有料課金モデルへの挑戦

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
四家正紀のネオコミュニケーション遊談連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

四家 正紀(シケ マサノリ)

株式会社カレン次世代ビジネスリサーチ室長。インターネット広告の草創期からWebマーケティングに携わり、現在はカレンにて次世代販促コミュニケーションについての研究活動と、ブログマーケティング・ブロガーリレーションズ案件のプロデューサーとして活躍。寄稿、講演多数。 ブログ カレン次世代ビジネスリサーチ室ブログ

著書

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2007/07/05 11:33 https://markezine.jp/article/detail/1361

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング