- 時期:2010年8月
- 国名:ブラジル
- 団体名:Conselho Nacional Do Sesi
- 業種:慈善
世界最大級のキリスト像が抱擁、その意図は?
テーマは「The World’s Biggest Hug」。慈善団体「Conselho Nacional Do Sesi」による、社会問題に対する国民意識を高めるために仕掛けられたPRです。
プロモーション背景・課題
ブラジルでは数千人もの子供や10代の若者たちが、大人から性的虐待を受けているという社会問題を抱えています。そこで、この社会問題について国民に広く啓発し、活動を促すために、『True Affection campaign』( = 真実の愛キャンペーン)を実施することになりました。
プロモーションの方向性
愛情表現の根源的かつ、究極の形として「Hug」(抱擁)を『True Affection campaign』のコンセプトに据えました。
施策内容
具体的な施策としては、はじめにブラジルで著名なアーティストや著名人、スポーツ選手に協力を仰ぎ、『彼らの心からの“ハグ”の姿』を映像として撮影しました。しかし、このプロジェクトの主催者は、著名人の映像を編集して単にCM等で活用することだけでは良しとしませんでした。国民の注意を惹きつけるためには、より偉大な存在の力を活用する必要があると考えたのです。
そこで白羽の矢を立てられた対象が、ブラジル最大の建造物、リオデジャネイロのコルコバードの丘にある「巨大なキリスト像」でした。この世界的に有名なキリスト像は、“ハグ”を行う前かのように、腕を大きく広げています(ちなみに、このキリスト像は2007年7月に「新・世界七不思議」の一つに選ばれています)。
この巨大なキリスト像に対して夜間2日にわたり、マッピング技術を使用して“ハグ”の映像を投影することで、あたかも“キリスト像が腕を大きく動かしてハグしているように見える”というイリュージョンを生成しました。
このキャンペーンの模様は、TV、新聞、雑誌、Webメディアで非常に多数のカバレッジを獲得しました。
ソーシャルメディアでも広く話題になり、YouTubeでも一般市民が撮影した“キリスト像のハグ映像”が多数投稿されたようです。
この“必然性のある”プロジェクションマッピングの使用法、素晴らしいと思います。あくまでもコンセプト・構想が“主”であり、その構想を実現するための手法として有効だからという理由で、プロジェクションマッピングを導入しているということが伝わりますね。
同時に、
- “人に伝える”
- “人に共感してもらう”
- “人を動かす”
ためには、『徹底にやれるところまでやる!』という覚悟が時には必要なのだと、痛感させてくれるケースです。商業的には「ここまででいいか」という“うまい妥協”( ≒ バランス感覚)が重要でしょうが、ときには振り切ってみたいものです。この壮大で自由な発想力に感銘を受けました。
プロモーションの模様をおさめた動画はコチラ
引用元サイト
- Conselho Nacional Do Sesi: The World's Biggest Hug:Ads of the World
先週の紹介キャンペーン
記事転載元:ブログタイムズBLOG