Fastaskは“スパイラル型のリサーチ”を可能にするかもしれない
冒頭で「潜在的なニーズを掘り起こす」という発言を取り上げたが、Fastaskによってどのような新しいニーズを掘り起こせると考えているのだろうか。そんな質問に対して、石川氏は次のように答えている。
「何らかの仮説を確かめるためにアンケート調査を行うわけですが、結果によって調査前の仮説が崩れることもあります。その結果を受けて、『もうちょっと調べたい』『別の仮説に基づいて調べてみたい』と思う人もいることでしょう。でもこれまでは、そう思った時点で予算がなくなっていますから、あきらめざるを得なかったのが現実だったのではないでしょうか。Fastaskなら、これまでの1回分の予算で複数回リサーチできます。確認しながら、一歩ずつ正しい方向に向かっていくことができるわけです」
畑違いだが、システム開発の手法として、ウォーターフォール型やスパイラル型といった開発手法がある。Webサイト開発などで使われるスパイラル型の開発は、最初から完全なものを目指すのではなく、試しながら徐々に完成度を高めていく。リサーチの世界でもセルフ式という選択肢を用意することで、スパイラル型の調査が可能になるのではないか。石川氏はそう考えているのだ。
ネットリサーチを広めることで、「すべてのビジネスに『裏付け』を」
スパイラル型の調査を可能にするだけではない。これまでネットリサーチを試みたことがなかった層にとっても、Fastaskによってリサーチがより身近なものになる可能性もある。
「セルフ式なら費用が何分の1かになる一方、自分自身で設問を作らないといけません。一定のノウハウを既に持っている人が、どうしてもメインにはなるでしょう。それでも、『ネットリサーチは初めて』という方がトライ&エラーをする際に、この安さは後押しになるはずです。今すぐではないにせよ、『今後、ノウハウを蓄積していきたい』と考えているお客様にも、機会を提供できるようにしていきたいです」(石川氏)
Fastaskのキャッチフレーズは「すべてのビジネスに裏付けを」というもの。ネットリサーチ未経験の企業にも広く使われるようになれば、「これはヒットする」という確信を持って、新たな事業・製品・サービスを世に送り出せる企業が増えてくることだろう。リサーチの文化が根付いていない企業には、Fastaskの登場が大きな転機になるのかもしれない。
リサーチのやり方だけではなく、ビジネスのやり方も変える。Fastaskには、そんな可能性もあると言えるのだろう。