ダントツのシュート数とゴール
もともと就職情報ビジネスとしてスタートしたリクルートが、商品の情報誌ビジネスに進出した第一号は「住宅情報」でした。その後も、クルマ、旅行、飲食店などさまざまな業態を対象にしてきたことは周知のことです。そして、活動の場は紙媒体からインターネットへと移っても、基本的な特徴は同じです。
それは、「企業と消費者の出会いを最適化するための仕組みづくり」をおこなうことですね。
住宅ならば、どのようなインデックスをつければ「自分にピッタリ」の物件が探せるか?沿線、間取り、価格などニーズにあったものを探し出しやすくすることが、最大の課題になります。
そこでは「その商品はいったい何なのか」という抽象的な議論をするよりも、「いかにして最適の商品を探し出せるか」という具体論を考えねばなりません。
そして、その最適解を提供し続けたからこそ業績が伸長してきました。サッカーでいえば、とにかくシュートをたくさん放ち続け、かつ高い確率でゴールを決めてきたというイメージでしょう。
それに対して、伝統的な広告会社のコンセプト構築は「中盤の球回し」のようなものです。かつては、この球回しが華麗であれば、クライアントは報酬を払っていたのですが、いまはそうはいかない。多くの広告会社が新しい収益源を求めてさまざまなシュートを試みているのです。
こうしたリクルートの攻めの姿勢は、90年代以降の社会情勢を追い風にしてきました。しかし、その一方で少々死角も見られるようになったと私は感じています。
