統合マーケティングが求められる中でどのように連携させるべきか
青葉――Webとの運命的な出会いを経たわけですね。ところで、Webの部門は「制作」という漢字を使うことが多いと思うのですが、Web「作成」部という名称なのはなぜでしょうか。
本間:珍しいですよね。広告宣伝の部門では昔からこの漢字を使っていて、ただ作るのではなく、自ら考えて生み出すといった意味を込めています。これは花王のカルチャーでもあり、以前は社内にCM撮影のスタジオまであったんですよ。
青葉――それはユニークですね。続いて、現在抱えていらっしゃる課題について伺いたいのですが、マーケティングの在り方が変化する中どのような課題を認識されていますか。
本間:統合的なマーケティングが求められている中、Webを含めた各メディアをどのように連携されるべきなのかという点に、大きな課題を感じています。また、さまざまなマーケティングデータが取得できる時代になりつつあり、取得したデータをどうフィードバックしていけばよいのかという点にも課題を感じていますね。
それから、消費者が接触するメディアが増えたことでコンタクトポイントは増えましたが、企業が消費者とコミュニケーションできる量は相対的に減っているという印象があります。テレビの最高視聴率は徐々に減ってきていますし、雑誌、新聞の発行部数についても減ってきています。
花王は今までマスメディアの使い方が上手かったのですが、マスメディアが全世帯をカバーしているという仮説の基に利用していました。それが劇的に変化している状況なので、テレビCMを軸にしたコミュニケーション以外の方法にも積極的に取り組んでいく必要があるのではと感じます。
青葉――統合マーケティングという視点で見ると、最後の接点である店頭のコミュニケーションまで広告宣伝の部門が考えるべき時代なのでしょうか。
本間:ええ、そう思いますね。かつては商品の特長が際立っていたので、それをマス広告でしっかり伝えられれば差別化ができましたが、消費財の市場が成熟した今、生活者に選ばれるだけの情報を伝えにくくなっているのは事実です。そこで最終的に通る店頭でのコミュニケーションはとても大事ですし、全てのコミュニケーションの一環として考えるべきだと思います。
一方、ECの場合は、各販売サイトに説明は載っているものの、確認のために当社の企業サイトを訪れるお客様もいます。なので、FacebookやTwitterなど新しいWebの接点も増えていますが、情報の根拠としての企業Webサイトの役割はこれからも変わらないと思いますね。
