そのほかの情報を解析する
さて、最初に前編で説明した部分をまとめます。まず、携帯電話からのアクセスは、基本的なアクセスの方法はパソコンと同じHTTPを利用するので、アクセスログを記録でき、そこから解析が可能です。したがって、アクセス数や時間帯、日付によるアクセスの変化といったことも解析できます。さらにユーザーエージェント情報が取得でき、そこからキャリアや機種、表現能力などの解析も可能です。IPアドレスを使えば、携帯以外からのアクセスをはじくことも簡単にできます。
では、それ以外の情報はどうでしょうか。例えば、リンク元や検索エンジンの検索キーワードに関して言えば、すでに述べたように、リファラー情報を送ってくるauやSoftbankの場合は、解析が可能です。したがって、少なくともauやSoftbankの携帯を使ってアクセスしてくる人に関しては、リンク元や検索キーワードを取得可能です。しかし、DoCoMoの機種はほとんどリファラー情報を送ってこないため、その解析はかなり困難になります。
アクセスのパターンは、各キャリアによって差があります。なぜなら、各社の公式メニューにどんなサイトが載っているのか、そういったサイトからリンクはどう張られているのか、といった違いや、それぞれのキャリアごとに公式の検索エンジンが異なることなどがあるからです。そのため、その2社の携帯での行動パターンを、そのままDoCoMoの携帯利用者にそのまま当てはめられるわけではありません。
そのことをきちんと踏まえていれば、もちろん、その解析結果は非常に有効だといえるでしょう。また、検索エンジンの検索キーワードについても、同じことが言えます。リファラー情報が無ければ、検索キーワードは取得できません。したがって、検索キーワードも、キャリアによる偏りが出てくることになります。
さらに検索エンジンの検索キーワードについて、もう1つ注意しなければならないのは、利用される検索エンジンがパソコンの場合とは全く異なるということです。そのため、解析ツールによっては、キーワードを正しく抽出できない場合があるのです。例えばauは公式の検索エンジンとしてGoogleを採用しています。しかし、その検索結果ページのURLは以下のようなものです。
http://ezsch.ezweb.ne.jp/search/ezGoogleMain.php?query=hogehoge
これは、googleという文字は入ってはいるものの、ドメインがGoogleはありません。そのため解析ツールによっては、きちんと「検索エンジンからの検索結果である」と認識されず、単なるリンク元としてカウントしてしまう場合もあります。同様に、Softbankの携帯のトップから検索をした場合も、PC版とは異なるURLになります。こうしたリンク元をきちんと検索エンジンとして認識し、検索キーワードを解析してくれるかどうかということも、解析ツールを選ぶ重要なポイントとなります。
携帯電話と検索エンジンのクローラー
第6回で解説したように、Webページには、人が操作しているブラウザのほかに、自動的にWebページを巡回しているプログラムである、ロボットからのアクセスもあります。そしてその中でも特に重要なのが、検索エンジンのクローラーです。携帯サイトには、携帯向けの検索サービスがあります。DoCoMoは独自の検索サービスを持っていますし、ほかにもエフルートやSeaftyyなどもあります。さらに最近ではパソコン向けの検索エンジンが携帯電話に進出してくるケースも多く、大手であるGoogleとYahoo!もそれぞれ携帯向け検索サービスを持っています。Yahoo!はSoftbankの携帯の標準検索機能ですし、Googleはauの標準検索機能です。それらは携帯サイト用の検索サービスの多くでは、携帯電話向けのクローラーを持っており、それが巡回してデータを集めています。したがって、携帯向けのサイトでも、クローラーのログを解析して、その頻度やアクセスしているページなどを解析することは可能です。