スマートフォンユーザーに最適化した施策が急務
スマートフォン市場が急速に伸びる中、より多くのユーザーを自社サイトに呼び込むため、スマートフォンに最適化した専用サイトの構築や、スマートフォン配信に特化した広告の展開など、スマートフォンユーザーの行動に最適化した施策に本格的に取り組む企業が急速に増加している。
しかし、PCやフィーチャーフォンなど、各デバイスごとの集客施策も含めた限りある予算配分の中で、進化と拡大を続けるスマートフォンに最適化された集客施策をいかに効果的に運用するのか。
今後のスマートフォン集客の戦略では、スマートフォンユーザーの行動や検索の特性を把握した上で、モチベーションに合わせた施策を実施することが、より一層重要になってくるだろう。
サイトに流入する検索キーワードが物語るユーザー特性
さて、オンライン上でのユーザー行動特性が顕著に現れやすい観測対象の一つに、検索エンジンからサイトに流入する際の検索キーワードの特性がある。では、スマートフォンで検索されるキーワードは、PCで検索されるキーワードと比較した場合、はたしてどのような傾向の違いが現れるのだろうか。
それらを知る手掛かりとなるのが、Web解析ツールによる検索流入キーワードの解析である。今回はWeb解析ツールから知ることのできる、スマートフォンからの検索流入キーワードについて、PCからの検索流入キーワードと比較しつつ、傾向や特徴をまとめてみたので参考にしていただきたい。
複数のサイトでWeb解析ツールのデータを元に、スマートフォンから「検索エンジン経由での」流入状況を検証してみると、サイト全体の検索流入数に対するスマートフォンからの検索流入の割合は概ね3~8%前後のシェア構成となっている。
また、あるリード獲得を目的とした個人向けサービスサイトでは、2010年データの集計調査において1%未満のシェアであったスマートフォン検索からの流入が、2011年データの集計調査では、約4%程度にまでシェアを伸ばしている。
もちろん、スマートフォンからの検索流入シェア構成比は、サイトの目的や事業モデルによって判断基準が異なり、一律には語れない要素でもある。しかし、スマートフォンでWeb回遊も決済もすべて完結するというユーザーが増加し、どのサイトのWeb解析データの調査結果でも、スマートフォンからの検索流入シェアが成長傾向にあることには間違いない。
さらに、スマートフォンからの検索流入キーワードを詳細に分析すると、デバイスの日本語入力支援機能(日本語入力アプリ)に依存すると思われる特徴と、ユーザーのシチュエーション(状況や欲しい情報)が垣間見られる特徴、2つの特徴が見えてくる。
日本語入力支援機能の影響が大きなスマートフォン検索
例えば、会社名やサイト名、商品・サービスのブランド名を指名する検索流入キーワードを調査すると、アルファベットで表記される機会の多いブランド名であっても、PCからの検索流入に比べ、スマートフォンからのアルファベット表記での検索流入は少ない。
また、PCからの検索流入キーワードの解析でよく見られるような入力ミスや日本語変換ミスと思われるキーワードも、スマートフォンからの検索流入にはあまり見られない。
キーボードでのローマ字入力が主流のPCと異なり、スマートフォンの日本語入力ではフィーチャーフォン同様に日本語かな入力が主流であり、スマートフォン向け日本語入力支援アプリが備える、素早く正確な文字入力が可能な「フリック入力」も多く利用されている。
そのため、アルファベットを直接入力する機会も少ないと考えられ、文字入力の際には予測変換機能によるアシストで、簡単に正確な文字入力が可能になっている。あえてアルファベットを入力したい場合だったとしても、かな入力からの変換で表示される、アシスト機能を利用するユーザーも多いのではないだろうか。
検索に慣れたユーザーの場合、検索結果の精度を上げるために複数のキーワードをスペースで区切り入力し、掛け合わせで検索することも多い。
しかし、Web解析ツールの検索流入キーワード集計結果を見てみると、PCでは半角スペース空けと全角スペース空けがどちらも使われているのに対し、スマートフォンの場合では全角スペース空けが使われることがほとんどなく、複数のキーワードを掛け合わせて検索する場合は、ほぼ半角スペース空けが使われているという、興味深い結果となっている。
ちなみに、Web解析ツールでは全角スペースと半角スペースを別の文字列として認識するツールが多く、同じ2語以上の掛け合せの検索流入キーワード、「アイレップ(半角空け)SEM」と「アイレップ(全角空け)SEM」は『別の検索流入キーワード』として認識されてしまい、集計も煩雑になるが(但しこれら2つの流入数の差でユーザーPCリテラシーを仮説立てる手法もある)、スマートフォンの解析ではその影響をあまり受けないということになる。