共感性を喚起、SNSを通じて不特定多数の人にアイデアを訴求
READYFOR?のサイトを覗いてみると「障害の有無、世代を超えて作るファッションイベント」「被災地の子どもたちをロンドン五輪へ」「パキスタンの女性に教育を届けたい」など、様々なプロジェクトが紹介されている。それぞれの概要とともに達成金額や達成率が記され、中には「成立しました!」と誇らしげに掲載されているものも。READYFOR?は2011年3月の設立から1年4ヶ月の間に、こうした約80件の企画を支援し、1件あたり最大で約830万円、およそ6,500人から総額で5,000万円の資金調達を実現させてきた。

「最も重視しているのは企画に対する“共感性”を喚起することです。共感があってこそSNSやツイッターなどネットを介して強力な伝播力を生み出し、不特定多数の人々にプロジェクトやアイデアを訴求できますから。加えて、気軽に小額で資金を提供できるよう、SNSとシームレスに連携した快適なプラットフォームづくりも大切です。さらに、支援が一過性にならないよう、関係性を継続する仕組みやコンテンツも必要ですね。こうした総合的な情報設計が、クラウドファンディングのキモといえるかもしれません」
ファンディング成功のカギは支援者の当事者意識
共感の核となるのは、企画に投影された企画者の“思い”だという。それをより効果的に訴求するためにREADYFOR?では2つの仕組みを採用している。まず「購入型」は資金と引換えに報告書や成果物などを“特典”としてお返しするというもの。もう1つは「All or Nothing型」であること。募集期間内に目標額に到達して初めてプロジェクトが成立するというものだ。
「いずれの仕組みも、資金を提供する人が企画の主体としてコミットしてもらうことを意図しています。たとえば、企画の目標額が達成しないとハラハラしたり、みんなでシェアし合うことで実現したり、企画が実現して喜びを共有したり。実際、支援者が声を掛けあって、ギリギリ1時間前に目標額を達成したということもありましたね。特典が直接的なインセンティブになることもありますが、それ以上に参加感や一体感が大きなモチベーションとなっていることは間違いないでしょう」