本来のマーケターの仕事は行間を読み、その背景を考えること
それと同時に、気になる投稿は具体的にどう言われているのかを見ることができ、投稿者の感情をアバターで表現することで画面で視覚的に把握できるようになっている。
ただし、「気になるものはなるべく読んだほうがいい」と鈴村氏は語る。
「人間の脳は行間を読むので、そこから背景を考えることに力を割くことが本来のマーケターの仕事だと考えている。とはいえ何千、何万も閲覧するのは不可能なので、読むべき声にたどり着きやすいシステム構築に注力している」
では、実際にネット上ではどのようなソーシャルリスニングが可能なのだろうか。例えば売れている炭酸飲料について調べるなら、この場合はポジティブなつぶやきを検出するので、「炭酸」and「おいしい」などで検索をかける。次に上位の銘柄を検出し、今度は「味」「飲みやすさ」「CM」などの切り口でつぶやきの質を分析する。そうすると、自社商品や競合商品が一体何について多く語られているのか、それは売上とどのように関係しているのか、などを把握することができる。
「競合商品がどう言われているかを、自社と同じように把握・分析できる点は、ソーシャルリスニングならではの利点であり、マーケティングにおいて画期的なこと」と鈴村氏は指摘する。
注目すべきは「つぶやき」x「テレビ番組の露出」のクロスメディア分析
ネット上のつぶやきに加えて、プラスアルファ・コンサルティングでは「見える化エンジン」にて、テレビ番組での露出もつぶさに検索し、把握できる。
これにより、マスコミ報道とネットのつぶやきの相関も把握できる。さらに自社コールセンターへの反響などを加味すれば、市場を多角的に捉えることが可能になる。また、つぶやきの量や売上との相関など、いくつかのデータを一つの画面に表示してオリジナルのダッシュボードを作成し、それを日々社内で共有すれば、容易に部門横断的な活用ができる。
このようなソーシャルリスニングを踏まえて、さらにこの時代にこそ実現できるのが、ソーシャルCRMだ。自社アカウントを用いて生活者と対話し、ロイヤルティを向上させたり、潜在顧客との接点を作り出したりすることで、CRMを実現することを意味している。
「自社アカウントで情報発信するだけでは、フォロワーへの一方的な伝達で終わってしまう。そこでフォロワー以外を含めたすべてのソーシャルメディアユーザーを対象に、自社に対して好意的なつぶやきをしている人や疑問を投げかけている人とコミュニケーションを図ることで、潜在顧客を能動的に増やすことができる。ソーシャルメディアCRMとはそうした企業の能動的な活動を指すものだ」と鈴村氏は強調する。