僕たちは複雑な人間関係を調整しながら生活していると思っていたが
これに比べるとTwitterのプライバシー設定は、オートマ車のようだと言えるだろう。なにしろ「フォローする」「フォローを外す」「ブロックする」「(自分に)カギを掛ける」の4つを使いこなせばよい。これはわかりやすいし、実はこのくらいの項目が設定できればなんとかなったりするものだ(実際みんなTwitterでなんとかなっている)。
LINEにしても、ソーシャルグラフ的な行動が「友だちになる」か「ブロックする」かのみという頃もあった。これはもう究極にわかりやすい。意図したものかわからないけど、とくに「友達を外す/止める」がないのは秀逸だと思った。リアルの社会でも、一度「友達」になってしまったら、絶交しようが疎遠になろうが「(元の)友達」であることに変わりはない。まだ何も知らなかった、無垢なあのころには戻れない。
逆にFacebookではブロックしたり友達を外したりしなくても、非表示にしたり制限リストに入れたりと、微妙な関係性を調整することができるのだが、初心者質問掲示板などを見ていると、そんな細かい機能なんか気にもとめず、みんなガンガンにブロックしあっている。
そういう意味で、最近Twitterを始めた元AKB48の前田敦子さんに、元同僚の篠田麻里子さんが「ブロック」を教えていたのはひとつ象徴的なツイートと言えるかもしれない。

僕たちはリアル社会の複雑な人間関係を細かく調整しながら日々サバイバルしている。そう思っているけれど、実際にFacebookのような複雑な調整機能を目の前にすると、急に不安になって、とても乗りこなせそうな気がしない。
そうじゃなくて、もっとシンプルな、いったん友達になってしまった人と縁を切りたいならブロックしよう。そのくらいザックリとした人付き合いを、自分はリアル社会でもやっているのだろうか。それがメタファーとしてSNSのわかりやすいさにもつながるのだろうか。ふと考えこんでしまう秋の夕暮れである。