ビッグデータが創出する新たなビジネスチャンス
ビッグデータが新たなサービス・ビジネス領域をさらに広げる可能性をもつことも、多くの人が期待を寄せている理由の一つだろう。
「ビッグデータによる新しいビジネスの創出感や、こんなビジネスまでできそうといった予感や体験はありますか」と本間氏は問いかけた。

(中央)株式会社mediba 代表取締役社長 大朝毅氏
(右)株式会社マイクロアド 代表取締役社長 渡辺健太郎氏
「今までは体感的にしかわかっていなかったことが、ビッグデータの活用により数値化され、ノウハウの共有が進んでいます。それによって、どこにウィークポイントとメリットがあるのか見えてきたことにより、ビジネスのプロセスが変わります。で、その次のステップへの、既存の手法にない新しい別のアプローチが出てきた時に、新しいビジネスが生まれてきます」(足立氏)
「私たちが今、手がけていないビジネス領域としては、不動産投資による将来の価格の予測モデルですね。私たちが持っているデータとニーズ、現在の価格動向と過去のデータを照らし合わて未来の予測をたてること。これはまだ手がけてないけど、新しい事業の可能性ですね。
過去を分析した結果や過去のデータを整理してサジェストするのがこれまでのレコメンドでした。これからは、勝手に私はレコメンデーション3.0と言っているのですが、過去から未来を予測する『未来予測モデル』をつくろうとしています」(井上氏)
「ビッグデータを使った新しいビジネスは、私はやっぱりO2Oだと思っています。最初に話したように、オウンドメディア、ここをきっちりと可視化していくことがまず大事ですね。たとえば契約者情報と突き合わせて、そのオウンドメディアに訪れた人が既存ユーザーか否かを判別して、適切な情報を出したり。例えば、既存ユーザーであれば、さらにロイヤリティ化するための情報を出したりですね。これからはどんどん、そいうことができるようになります。
そして、そこにいるユーザーをターゲットに、O2Oの世界でどう商売していくのかですね。ネットとオフラインでは、まだまだオフラインのほうが大きいです。そこにネットから人をいざなって、いかに売り上げをあげていくのかが、私は重要だと思っています」(大朝氏)
「日本人にも十分にチャンスのあるマーケット」
様々な立場にいる4人の登壇者の対談からもわかるように、ビッグデータの定義はある意味とても曖昧なようだ。ビジネスのミッションやビジネス形態、会社の立ち位置によって、それぞれが意味するビッグデータのサイズや質、種類が指し示すものが異なってくる。つまり、一様に明確に定義できるものではないのだ。
一方で、ビッグデータを使用することで、新しく創出されるビジネスへの期待の高さを感じることもできただろう。

対談の終わりに、マイクロアドの渡辺氏は「アメリカのカオスマップを見ると、プレイヤーはたくさんいるように見えますが、中身をみるとそんなに大したことはない会社が8割くらい。この領域は、ひとつのロジックと何かをかけわせることでビッグビジネスになるポテンシャルがあります。日本人にも十分にチャンスのあるマーケットだ」と語った。この言葉は、これからビッグデータ活用に取り組んでいく企業にとって、心強いものとなるに違いない。