ビッグデータブーム、その背景とは

「『Harvard Business Review(米国版)Oct. 2012』でビッグデータが特集されていたように、アメリカはもちろん、ワールドワイドでビッグデータというキーワードが重要視されている」と本間氏は語る。
「ビッグデータというキーワードへの期待値はとても高いが、なぜいまこの時期にビッグデータという話が盛り上がっているのか」と本間氏は問いかけた。
「テクノロジーの発達もありますが、一番大きな要因はビッグデータで成功している会社がいくつも登場してきたことだと思います。グーグルやアマゾン、アップル然り。
アマゾンは明確に『Date is King』ということを言っていますし、GREEも『一個人のセンスよりも数千万人のデータを信じる』と言っていますよね。データ分析でビジネスが成功している会社がいっぱい出てきていることが大きいと思います」(大朝氏)
ビッグデータってどのくらい大きいの?
ここまではロジック的なビッグデータの話をしてきたが、ここで少しプリミティブな話し戻る。
「皆さんが考えるビッグデータのサイズ感はどのくらいですか。ビッグデータはサイズによって定義されるものなのか」と本間氏は問いを投げかけた。
「サイズは、目的とか手段によって変わると思います。例えば道路行政でいう交通量調査では、大体人口の10%ぐらいを網羅してやっています。一方で店舗の販促やデジタルマーケティングでは、そのエリアの人口の1%の散布数がいれば既存に比べれば莫大な量です。目的や手段によって、必要なデータの量は変動するのではと思います」(足立氏)
「弊社が扱っている絶対的なデータ量は、例えばマイクロアドさんが扱っている量よりは少ないですね。いろんな全ジャンルの大量のデータという考え方と、ある特定のマーケットの中でのシェア率100%を目指していくというのでは、同じビッグデータでも少しアプローチが変わってきます」(井上氏)
「データというのは統計学みたいなもの。量よりも、その会社がもてる唯一のデータというか、これがどちらかというとビッグデータと思います」(大朝氏)
「データは多ければ多いほどいいですね。量はカバー力ということもありますし、それが質につながります。今は6,000万人のオーディエンスデータがありますが、これからさらに位置情報がつかえるようになってくるともっと利用価値があがってくると思います」(渡辺氏)
ビッグデータビジネスに参入するハードル
では、ビッグデータにビジネスとして取り組んでいくハードルは、以前に比べて低くなっているのだろうか。システムやソフトウェアのコストが安くなっていることから、初期投資が小さくなり、ビッグデータに参入する障壁は低くなったように見えるものの、実際はインサイドに長期的にコストがかかる。そこをビジネス的にどう成立させていくのかは、ビッグデータに参入していこうとする人たちの大きな悩みであろう。
では、もともとはネット専業ではなく、不動産紹介業としてのビジネスが中心だったネクストでは、ネット活用にシフトしていくにあたって、社内をどのように動かしていったのだろうか。
「実をいうと、広告費のCPA単価が年々上がり続けており、その効率化が経営の課題として出てきていました。弊社ではCVRが1%上がるだけで、利益が跳ね上がります。ROIとして非常にリターンが多いこともあり、会社の命として取り組むことになりました。
私たちは、このペースでCVRが変わらずにCPA単価が上がり続けた場合に、どのあたりでいくらぐらいロスするという予測を立て、そうすると投資したほうがいいと、経済合理性で判断しました」(井上氏)