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B2CのZOZOTOWNも、B2BのIBMも ―― これからの時代に必要なのは“B2I”マーケティング

CMOに求められる5つの要件

 こうした環境の変化から、企業の最高マーケティング責任者(CMO)に求められる要件も変わってきたと浅野氏。顧客起点のマーケティングを推進するためには、次に挙げる5つの要件がCMOに必要だと指摘する。

  • 個のレベルで顧客を理解
  • パーソナライズされた顧客体験の提供
  • 企業行動とブランドイメージの一致
  • 投資対効果(ROI)の説明責任
  • マーケティング領域へのテクノロジーの活用

有用な知見を拾えるようになったからこそ、「個のレベルで顧客を理解」

 「個のレベルで顧客を理解」することについて、浅野氏は次のように説明している。

 「『個』客は、自分から口に出さなくても企業が自分の思考を理解し、求めるものを提供してほしいと望んでいます。今なら、『個』客がインターネット上でどのような動きをしたのか、捉えられます。『個』客にアプローチするチャネルも、PCのほかにスマートフォンやタブレットなどから選ぶことができます。やろうと思えば『個』客ごとにオファーを出し分けることもできるようになっています」

 これまでも「個」客の購入履歴やコールセンターへの問い合わせ内容などを分析できはしたが、効率的に有用な知見を得ることは難しかった。現在はそうした「個」客の行動について相関性を探っていくことで「このタイプの『個』客は次にこういう行動をする」とニーズを予測することが可能。企業が次に採るべきアクションについても、最適なものを見つけ出すことができる。

「個」客を理解したら、最適な体験をパーソナライズして提供

 そうして「個」客の思考を理解した上で、「個」客体験をパーソナライズしていく必要がある。

 北米のテレビショッピング企業は、顧客像を詳細に作りこんだペルソナを作成。ある中年の女性が結婚記念日に子供たちからプレゼントをもらい、今度は子供の誕生日にプレゼントを贈ろうと考えた。

 そんなケースでは、どんなプレゼントがいいかと考え、候補の品物を検討し、購入に至り、購入後のフォローメールを送るまで、どのような体験を提供すれば最適なのか。一連のプロセスについて、入念に設計しているのだという。

 「思い返してみると、Amazonで初めてレコメンド機能が登場した時には、個人情報がどこまで取られているのだと気にする人がたくさんいました。その時にユーザーが感じた違和感や不安は、だんだんと薄れてきたのではないでしょうか。今では逆にレコメンド機能がないと『何でないのか』『使いにくいサイトだ』と思われかねません。

 マーケティングという行為は、定着すると自然なものだと受け入れられるようになり、消費者から『当たり前にあるもの』と理解されるようになります。『個』客体験のパーソナライズも同じです。知らないうちに、サービスの一部として認識されるようになっていくでしょう」

IBMが全世界1,700名以上のCMOに行った調査内の設問
「今後3年~5年間で顧客満足度向上のために必要な変革は?」の集計結果でも
「個々の顧客ニーズの理解向上」「市場ニーズへのレスポンスタイムの短縮」が上位に
(出典:IBM Global CMO Study)
IBMが全世界1,700名以上のCMOに行った調査内の設問「今後3年~5年間で顧客満足度向上のために必要な変革は?」の集計結果でも「個々の顧客ニーズの理解向上」「市場ニーズへのレスポンスタイムの短縮」が上位に(出典:IBM Global CMO Study)

“炎上”リスクに備えるため、「企業行動とブランドイメージの一致」を

 ブランドイメージを育てて守る仕事はこれまでマーケッターだけのものだったが、現在は別部署の社員1人の行動・発言であっても、ソーシャルで一気に拡散してしまう時代。CMOにはブランドイメージを損なう行動を全社員に取らせないようにする責任が生じてくる。

 消費者が自社で運用するFacebookページにネガティブな情報を書き込んでくる恐れだってある。実際、ある米国流通業の企業では、あるユーザーからのクレームが自社のECサイトに掲載されてしまった。そのユーザーは結婚記念日にプレゼントを贈ろうとしたのに、いつまで経っても届かない。「到着が遅い」とクレームを入れたのに、記念日の深夜になってもまだ到着しない。それで辛抱たまらずFacebookページにクレームを書き込んだのだ。

 「担当者一人ひとりがどんな行動をするかで、マーケッターが努力して構築してきたブランドイメージが一瞬で崩壊する恐れだってあります。社員にブランドイメージを守る意識が行き届いているか。マーケッターとほかの社員との意識の違いを埋めていくこともCMOの大切な役割と言えるでしょう」

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世界中のCMOが重視する「ROIの説明責任」

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この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2013/01/31 19:17 https://markezine.jp/article/detail/16858

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