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ビッグデータ・マーケティング

ビッグデータ・イノベーションは組織情報流の変革 顧客との接点部分に着目し、究極のOne to Oneマーケティング実現へ


ビッグデータ・イノベーションに成功する企業の条件

 10年ほど前に、ブリニョルフソン(2002)がITによる生産性向上やイノベーションに成功する組織の条件を明らかにし、その条件を満たす組織をデジタル組織(digital organization)と呼びました。そこでは、IT投資の効果を上げるには情報システムなどの物的資産だけではなく、それを補完するインタンジブル・アセット(目に見えない資産)のほうがはるかに重要だと述べています。

 最近発刊されたハーバード・ビジネス・レビュー(2012年10月号 )で、マカフィーとブリニョルフソン(McAfee and Brynjolfsson,2012)が、今度はビッグデータを活用するデータドリブン企業について検討しています。そこでは、組織の意思決定が直観や経験に頼りすぎていること、最も売上に貢献する人の意見(HiPPO:Highest-paid persons opinion)に左右されすぎていることを挙げ、ビッグデータは経験価値、専門知識の意味、マネジメントの実践を変化させるマネジメント革命だとしています。

 彼らが、ビッグデ ータからフルにベネフィットを引き出すためのチャレンジ項目として挙げているのは、次の5つです。

ビッグデータが促す、マネジメント上のチャレンジ5項目

  1. リーダーシップ(ビッグデータのパワーを引き出すチームとリーダー)
  2. タレント・マネジメント(ビッグデータを使いこなすデータサイエンティスト)
  3. 技術(ビッグデータ関連技術)
  4. 意思決定(ビッグデータを役立たせる意思決定)
  5. 企業文化(データドリブンで意思決定を行う組織文化)

 デジタル組織とデータドリブン組織の条件で共通するのは、人的資本や組織文化などインタンジブル・アセットの醸成です。しかしながら、それは一朝一夕にできるものではありません。ビッグデータを活用した業務オペレーションの定着化、実験や仮説検証によるノウハウの蓄積、これらを絶え間なく繰り返すことで他は模倣困難になり、イノベーションによる優位性を持続することが可能になると言えます。

【参考文献】
アンゾフ, イゴール(1969),企業戦略論(広田寿亮訳),産業能率大学出版部.
シュムペーター,ヨーゼフ(1920), 経済発展の理論(塩野谷祐一,東畑精一,中山伊知郎訳), 岩波文庫.
ブリニョルフソン, エリック(2002),インタンジブル・アセット―「IT投資と生産性」相関の 原理(CSK 翻訳), ダイヤモンド社.
McAfee, Andrew and Brynjolfsson, Eric (2012),”Big Data: The Management Revolution”, Harvard Business Review, Oct. 2012, pp.61-68.

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この記事の著者

佐々木 宏(ササキ ヒロシ)

立教大学 経営学部教授。

筑波大学 経営・政策科学研究科修士課程、大阪大学経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。金融系シンクタンクにてマーケティング・リサーチ、経営コンサルティングなどに従事後、大学教員になる。マーケティング・リサーチ、データマイニング、eビジネス、IT産業の国際比較などが専門で、大...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/06/27 17:50 https://markezine.jp/article/detail/16920

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