電通パブリックリレーションズは、「2012年年末SNS調査」を実施した。
日本の3大SNSはTwitter、Facebook、mixi
SNSの認知について聞いたところ、「内容まで知っている」「名前を聞いたことがある」と答えた人の合計値(認知率)で最も多かったのがTwitter(98.7%)。それに肉薄したのがFacebook(98.4%)、続いてmixi(95.9%)という結果に。
ソーシャルゲームを展開するモバゲー(94.9%)とGREE(91.5%)の認知度は拮抗。無料通話・無料メールスマートフォンアプリにおいてはLINE(76.5%)、Comm(34.3%)、カカオトーク(31.2%)となり、LINEの認知度が際立った。
10代が牽引するTwitter、幅広い年齢層のFacebook
利用経験・利用意向について聞いたところ、「現在利用している(ほぼ毎日)」と「現在利用している(たまに)」の合計値(利用率)は、Facebook(41.7%)とTwitter(40.5%)が4割を超える結果となった。次にmixi(26.7%)とLINE(23.7%)が拮抗。
今後の利用意向では、Google+(19.0%)、LINE(18.7%)、Comm(16.3%)の順となった。Commは2012年10月下旬にサービスを開始したばかりにもかかわらず(本調査実施まで約1か月)、高い利用意向を示している。
性・年代別で見ると、Twitterが10代に牽引されているのに対し、Facebookは10~40代までを中心に、年代別の大きな差異はなく、平均的に利用していることが明らかに。
2013年、SNS界はまだ進化する
2013年のSNS界未来予測についてフリーアンサーで尋ねたところ、65.3%が「SNSが主要連絡手段になる」「SNSとテレビがタッグを組み、番組が進化する」「SNSを使った防災計画が進行する」など、より積極的な利用や社会を巻き込んだ用途の拡大、進化を予測するような、将来性に期待する前向きな内容であった。
一方で23.9%は、「SNSは飽きられると思う」「SNSがきっかけで人間関係のトラブルに発展する」など、利用規模の頭打ちやトラブルの発生を予想するような、後ろ向きな内容であった。
考察
1、2013年のSNS界のポジティブ予測はTwitter、Facebook、mixiの定着が下支え
2013年のSNS界未来予測では、6割以上の人が、より積極的な利用や社会を巻き込んだ用途の拡大など、その将来性に期待するような前向きな予測をした。ポジティブ予測を下支えしたのはSNSの定着化だろう。Twitter、Facebook、mixiの認知度は、いずれも95%以上を占め、これらのソーシャルメディアは、コミュニケーションプラットフォームとして認知が定着、いわば常識化したと言え、さらに一歩進んだ使い方に期待が集まるのだろう。
また、高い認知率の半面、利用率がまだ5割を下回っていることや、約10~20%の利用意向があることをかんがみると、フォロワー層の取り込みなどによる伸びしろは、まだ十分にあると思われる。
2、2013年は特にメッセンジャーアプリが熱い
今後の利用意向が高い、Google+、LINE、Commは、フリーアンサーからも「Google+がヒットする」「LINEがもっと広い範囲で使用されて異業種交流が進む」「Commが人気になる」など期待の声が上がっており、2013年の利用者増が見込まれる。
中でも、メッセンジャーアプリ(無料通話・無料メールスマートフォンアプリ)は、サービス開始から日が浅いにもかかわらず高い支持を集めており、2013年も注目。支持の理由は、スマートフォンの普及により、アプリを取り込む環境が整ったことに加え、フィーチャーフォンで充実していたデコメの代替機能として、より自分の感情をダイレクトに表現しやすいスタンプ機能が搭載されたメッセンジャーアプリが、スマートフォン利用者に歓迎されたためだと考えられる。
3、利用者増が、SNS疲れの原因か
2013年のSNS界に対する期待の声が多く聞かれる中、約4分の1程度の人が、SNSは頭打ちになるなどの後ろ向きな予測を立てている点も見逃せない。この背景には、パイオニア層には「すでに先の見えたプラットフォームだ」と捉えられている可能性と、いわゆるSNS疲れの存在が示唆される。
利用者数が増え、SNS上の友人・知人が多くなるにつれ、配慮するべきことが多くなってしまったことが、疲労感につながっているのではないかと推察される。
4、多様化するSNS時代のキーポイントは「アンチユビキタス」
シェア文化が定着し、情報のユビキタス化がさらに進んだ2012年。これまでSNSと言えば、知人同士を「つなげる」、知っている情報を「拡散する」役割がフォーカスされてきた。しかしながら今後は、趣味や嗜好に合わせた「グループ化」や「深掘化」が進むと見込まれる。
これまでは情報拡散という量的視点になりがちであったが、情報は広がれば広がるほど平準・陳腐化するため、本当のコアターゲットに「これは自分のための情報だ」と思ってもらえるようにすることが、今後の企業の最重要課題である。つまり、これからのコミュニケーションポイントは「アンチユビキタス」と言えるだろう。