企業ウェブサイトにおける顧客生涯価値
ウェブサイトを訪問するユーザーは、前回の記事で解説したように、いくつかのカテゴリに分けられます。企業から見たユーザーの優先度を以下の図で考えると、(5)より(4)のユーザーが企業にとってはありがたいユーザーであり、(1)のユーザーが一番、企業にとってはありがたいユーザーとなります。
上図の「インタラクションしたユーザー」とは、メルマガ登録、キャンペーン応募、製品資料のダウンロード等、サイトで何らかの行動を起こしたユーザーを言います。
企業ブランドサイトで考えてみると、(1)のユーザーは、何度も訪問し、ウェブサイトで何度もインタラクションするユーザーになります。頻繁にサイトを訪れているということは、ユーザーが一度インタラクションしたあとも、さらに訪問する意思があるということです。これは、企業に対して興味を深く抱いている状態、かつ過去の訪問、インタラクションに不満を抱いていないユーザーと考えることができます。これは、(2)のユーザーも同様の状態であると考えられます。
前回の記事でご紹介した「パレートの法則」に基づいて仮説を立てるとすれば、この(1)~(2)のユーザーを多く確保することが、企業ウェブサイトにおいて高い価値を獲得することにつながります。
マーケティングでは、ユーザーが長期間に渡る取引を重ねてくれることで、企業にもたらすと考えられる価値を「顧客生涯価値(Life Time Value:LTV)」と呼びます。このLTVの視点で考えると、(1)と(2)のユーザーの価値が高いと言えます。
一般的に企業活動において、新規顧客を獲得するには既存顧客維持の5倍のコスト(労力)を要するといわれています。このコストを考えると、企業ウェブサイトにおけるユーザー全体の顧客生涯価値を高めるために重要なことは、複数回の接触、訪問を経て、価値を生み出してくれるロイヤルユーザーを多く、長く確保しておくことです。