Webデザイナーがリアルに困った(2)制作側と依頼側の意思疎通ができていない
苦労して出来上がったサイトがどうも気に入らない……。そういうケースがときどきあります。「当初の打ち合わせ内容を反映していない」「見積もり金額を大幅に越える仕様になっている」「イメージと違う」などなど。その原因がどこにあったのか、制作者とのやりとりをよーく思い出してみましょう。
制作側:「御社のサイトを制作するにあたって、要望はありますか?」
依頼側:「かっこいいサイトがいいです。黒バックで赤をイメージカラーに。」
制作側:「なるほど……、黒バックでイメージカラーが赤のかっこいいサイト……と。」
まず、抽象的な表現はなるべく避けましょう。「かっこいい」と感じるものはその人の感性によって異なります。担当者と制作者がまったく同じものをイメージしているとは限らないのです。本来ならば、制作サイドが「かっこいいとは具体的にはどういうものですか?」と詰めておくべきポイントですが、ここではそのまま鵜呑みにしてしまっています。
また、「黒バックで赤をイメージカラーに」というのも注意が必要です。いくら発注側から具体的な色の指定があったとしても、教育関係や医療関係などでは黒い背景などは使うべきではありませんよね。色を検討するなら、その会社が持っているコーポレイトカラーを中心に、与える印象、読みやすさなどを考慮に入れた上で配色を検討しましょう。
依頼側:「Flashとかを使って動きがあるものがいいです。」
制作側:「ふんふん……、Flashを使って動きを入れる……と。」
Flashの扱いについては、どういう動きがよいのかを具体的に伝えるべきです。画像が切り替わるような単純なものであればJavascriptでも代用できますし、後にあるようにスマートフォンへの対応を考えているならなおさらです。Flashでしかできないようなインタラクティブ性のある表現を求めるならば、コストが大幅に上がることも念頭に置くべきですし、制作側もその点を伝える必要があります。
依頼側:「最近流行りのスマートフォンにも対応させてください
制作側:「わかりました。スマホ対応ですね」
スマートフォン対応については、1つのソースファイルですべてのデバイスに対応させる「レスポンシブルデザイン」にするのか、あるいはターゲットとするデバイスを決めて、その機種に最適化したページを別途作るのか、それによっても納期やコストが変わってきます。
こうしてみると、両者間で曖昧な要素があると、納期・コスト・完成品に対して、「これじゃない」「こんなはずじゃない」という結果につながる可能性があることがわかります。そのためにも、制作する際には仕様書やデザインラフを作るのはもちろんですが、発注者側も、参考となる資料やサイトなどをあらかじめ用意し、共通認識にズレが生じないようにしましょう。