マルチデバイス時代に対応した検索連動型広告へ
MZ:今回のリニューアルにあたって「課題解決エンジン」というコンセプトを打ち出しましたが、現在、広告主が抱える課題についてはどのように見ていますか?
高田:大きく2系統に分かれると思います。ひとつは「マーケティングの広告効果」の課題。ビジネスをより大きくするにはどうしたらよいのかということですね。もうひとつは「テクノロジー」「複雑さ」といった課題です。この2つを同時に解決しなければ、広告効果がよくても、それに見合う投資コストが……という話になってしまいます。
絹田:もうひとつの課題が「ユーザーファースト」です。いま私はPCとタブレット、スマホ2台を持っています。併用率はどんどん高まっていて、ユーザーの7割くらいがマルチデバイスという状況です。

MZ:では、絹田さんが担当されている「スポンサードサーチ」のリニューアルについてお話いただけますか?
絹田:マルチデバイスと関連するのですが、検索連動型広告はいまが変換期だと思っています。スマートフォンの普及とタブレットの成長という環境下で、検索から発生する販売や広告の効果をユーザー視点でも見なければなりません。
たとえば、検索キーワードひとつとっても、時間帯と場所でその意味するところは違います。「イタリアン」というキーワードで、今晩行くお店のメニューを見たいのか、帰宅途中の駅の近くで食事がしたいのか。ユーザーの行動に対して、どういう情報を伝えれば販促的に効果があるのかを今後追求していきます。
MZ:具体的にはどのような点を改善することになるのでしょうか。
絹田:テキストで表現できることの限界もありますが、まだ補完できるところもあります。メニューのページに直接行きたい人のために複数のリンクを用意する。電話番号を表示することで、スマートフォンで直接電話ができる、位置情報がすぐにわかるといった具合です。ユーザーが広告からすぐに行動に移せるようにするというのがリニューアルのコンセプトです。
タブレットにも爆速で対応する
絹田:毎回こういう話になると僕は「タブレットとスマートフォンが来ます!」というふうに言っているんですが、すでにこの2つは来ていると思います。
高田:昨年はスマートフォンが流行しましたが、今年はそれ以上に早いタイミングでタブレットが来るというふうに、私たちは見ています。これまでのYahoo! JAPANはどちらかというと保守的で、後発でも良しとしていました。しかし、爆速経営体制になってこれを止めようと。僕らが一番最初にやる。そうすれば、タブレットが来たときに「もうご用意してますよ」と言える。そういう状態を作りたいんです。
MZ:昨年、米国でiPadが普及したときには、米国の広告主企業では「iPadは富裕層のデバイス」という認識があったようですが、日本ではどうでしょう。
絹田:端末の単価を見てもらえればわかりますが、そういう層が多いというのは傾向としてあると思います。しかし価格が下がってきて消費活動が広がっていけば、近い将来、広告の領域も広がっていくでしょう。
高田:広告自体はスマートフォンよりタブレットのほうがやりやすいところがあります。「買うのはPC・タブレットで」という傾向は大きいですから。まだトラフィックの全体量は少ないけれども、タブレットの存在感が増してくるというのは間違いないですね。