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「テレビCM好感度ナンバー1。でも実際はネットを活用した戦略が6割を占める」 ─ エステー 鹿毛康司氏

エステーの宣伝の要は「左脳で考え抜き、アウトプットは右脳に落とし込む」

 青葉―― CM制作をはじめ、色々と工夫をされていると感じましたが、コミュニケーションの仕方に関するポイントを教えていただけますでしょうか。

 それを話すのは……安くありませんよ(笑)。というのは冗談ですが、集約すると大きく2点挙げられます。ひとつは「右脳的で“下から目線(お客様目線)”のアウトプット」を心がけること。もうひとつは、「ネット展開」を意識することです。

 まずひとつ目の「右脳的で“下から目線(お客様目線)”のアウトプット」ですが、企業発信のメッセージは、とかくロジックをそのままぶつけて上から目線になりがちです。一方で、生活者としての私たちはテレビを論理的には見ていません。映画だって人間関係だって、言うならば右脳で受け止めたりかかわったりしています。そこに訴えかけようとするのなら、もちろんロジックは大事ですが、アウトプットは右脳的でないと届かないのです。

 例えばCMなら現状の課題やそれを打破するメッセージを「どういう順番」で「何が届けばそれが伝わるか」緻密に考えていきます。その上で、「どういう印象が残ればいいのか」を受け手の目線で導き出していくのが、右脳的にアウトプットするということです。そしてさらに、「目線を下げる」。これは、一例としてあげるなら、CMでコミカルな歌を作ったりおかしな動きを真面目にやったりして、敷居をぐっと下げるということです。

縦軸に目線の高さ、横軸に右脳・左脳とすると、
エステーは一般的な企業とは真逆の立ち位置でコミュニケーションを立案している
縦軸に目線の高さ、横軸に右脳・左脳とするとエステーは一般的な企業とは真逆の立ち位置でコミュニケーションを立案している

 「目線を下げる」と言っても、それを表現するのはメンバーにとって苦労を要するポイントです。例えば当社は1998年から毎年ミュージカル「赤毛のアン」を開催しています。今年で11年目になりますが、そのキャッチフレーズをコピーライターに考えてもらうと、ロジックで説明されて挙句の果てには、「生きる力をあなたに」とか「湧き上がる感動」などの案が出てくる(笑)。

しかし、考えてみてください。友達に「生きる力がもらえるんだよ!」とミュージカルに誘われて、行きたくなりますか? 普通の感覚なら一瞬でヘンだと分かるのに、ビジネスという枠の中で考えた途端、左脳的な考えのアウトプットになってしまうのです。

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最終的な目標は、お客様の目をハートにさせること

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この記事の著者

青葉 哲郎(アオバ テツオ)

サイコス株式会社 代表取締役
東京都出身。明治大学政治経済学部卒業。1994年4月 ジャスコ (現イオン)入社。1995年マイクロソフト入社。トップセールスを経て、最年少ブランドマネージャに就任。MSN事業開発など担当。2001年インテリジェンス入社。マーケティング部を設立し『はたらくを楽しもう。』で同社を転職ブランド1位に。2008年リクルートエージェント入社。『転職に人間力を。』で新ブランドを立ち上げ、コスト減と広告効果の最適化...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/05/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17607

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