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ブランド保護観点から論じるDSPとオーディエンスターゲティング【アドべリフィケーション対談】

アドベリフィケーションが解決できる課題

 ── これまでの話の中で配信先に不透明さについて課題が挙がりましたが、その解決方法としてアドベリフィケーション(Ad Verification)に注目が集まっていると感じます。

 大島:配信先の問題はマス広告に例えると分かりやすいと思います。例えば、弊社の場合はブランディングを重要視しておりますので、新聞や雑誌についても媒体の特性、内容を厳選して出稿しています。広告を掲載するのにふさわしいと考えるメディアや、誌面、番組にしか広告を出さないのです

 また、マス広告では競合排除やコンテンツとの親和性へ配慮などがありますが、ネットの世界ではその配慮があまり見られません。特にDSPに関しては、どのサイトに掲載されるのかわからない危険性があります。DSP活用を進めている広告主さんは、そもそも自社の広告がどこに配信されているのか全て把握できているのでしょうか。

 広屋:これまでの純広告やプレミアムのアドネットワークでは配信先にケアをしてきました。「“誰に”“何を”“どこへ”出すのか」を明確にしていたわけです。しかし、国内のオーディエンスターゲティングの場合は3番目にあります、“どこに”という点へのケアが薄くなっている状況にあります。

 アドエクスチェンジがアドネットワークから在庫を調達していますし、そのアドネットワークがさらに他のアドネットワークから在庫を調達しているケースもあり、広告掲載までのフローが複雑化しています。枠ではなくオーディエンスデータに基づいて広告を配信するという理屈になっているので、掲載面へのケアが困難な状況に陥っているのです。

 こうした状況なのでブランド保護の観点から掲載面へのケアが必要ですよねという認識が高まり、それを実現するためのサービスであるアドベリフィケーションという仕組みへの注目度が高まっています。

 大島:端的にいうと、今までやってきたことを新しい枠組みの中でやり直しましょうということです。現状ではブランド保護という観点が抜け落ちている状況なので、結果的にCPAという指標を重視してしまうことにも危惧を感じます。

 エージェンシ―側も広告主側もCPAを重視して施策を進めるケースが多くありませんか。CPAは確かに安くなるがブランドを毀損する恐れも実は存在する。広告主側はその点をよく考える必要があります。

 配信先の選定、いわゆるホワイトリスト配信は一部のDSPでは可能です。しかしDSPでホワイトリストができるということを知っている方はまだ少数のように感じます。例えば広告主側が、GDN(Googleディスプレイネットワーク)でホワイトリストの作成が可能なことを意外と知らないという事実もあります。

 ── なるほど。ホワイトリスト配信をしないでバイイングすればCPAは安くなる傾向になるでしょうし、オーディエンスターゲティングでは効率的というところだけがフォーカスされがちですね。ホワイトリスト配信によるオーディエンスターゲティング環境が整えばラグジュアリー企業などもこの領域の広告活用に踏み切れるのかなと思います。

 大島:数年前、米国でオーディエンスターゲティングが活況になってきた時点で、米国企業は配信先を気にしないのかという話をヒアリングしたことがあります。その時にアドベリフィケーションのようなサービスが機能しはじめているということを聞きました。弊社の場合はこのようなサービスがないとDSPを活用できないな、と思いました。

国内でのアドベリフィケーションの環境

 広屋:一昨年の秋あたりから海外でのアドベリフィケーションに関する話を聞くようになりました。米国では日本よりも雑多な在庫が多いので、アドベリフィケーションのようなサービスは必須で、専業の業者が顕在化しはじめていました。海外ではアドベリフィケーションによって改善された事例が多数見られるようになっています。

アドベリフィケーションとは
アドベリフィケーションとは
アドベリフィケーションによる海外の改善事例

  その事例はブランド保護の視点の内容が多いです。弊社が見てきた中で、3つの事業者(インテグラル、アドエクスポーズ※現在はコムスコアの1事業、ダブルベリファイ)は、監視先全体の在庫が安全な状況になっているかという定期的なレポートも出しています。

 24時間、365日でクローリングをしページの安全性評価のデータベースを構築しています。それに基づいて、不適切なページをブロックしたり評価をしています。指標は色々とありますが、米国ではブランド広告主もDSPの活用をはじめていて、その場合は必ずアドベリフィケーションも含めて実施しているようです。

アドベリフィケーションサービスを提供する3社
アドベリフィケーションサービスを提供する3社

 ── もっと早く国内で活用が進んでもよかった気がしますが、国内での活用がこれからなのはなぜなのでしょうか。

 広屋:日本語の言語解析精度にまだ改善の余地があるところでしょうか。逆にいえばその点さえクリアできれば、導入が進んでいくのではないでしょうか。弊社も海外ベンダーが日本にサービス導入する際に言語マッチングなどの導入サポートを行っている状況です。

 また、文字だけではなくて画像も対象となります。画像をどう捉えるかという点も実は重要なのです。例えば肌の露出です。日本と米国では肌の露出量に対して考え方も違いますのでどう自動解析させるのかということもあります。総じて言いますと、言語依存と文化依存の問題ですね。

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インテグラル社とのアドベリフィケーションテストマーケティング

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この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/05/17 18:30 https://markezine.jp/article/detail/17728

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