SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

統括編集長インタビュー

「ブランドは企業がつくるものではなく、消費者の中に生まれるもの」 無添加石けんの“真の価値”を伝えるマーケティング施策


ターゲットを絞ると企業のメッセージが「宣伝」から「自分ごと」になる

 ── 松永さんの活動は、マーケティングの基本を押さえたものばかりです。日頃の活動において、気に留めていることはありますか。

 「伝わらない前提で考える」ということです。昨今の消費者はたくさんの情報を持っていますが、伝える側はそれを考慮せず、さらにたくさんのことを伝えようとします。消費者には、せいぜいひとつのことしか伝わらないと留意しておくべきです。

 ── ひとつに絞っても伝わらない場合は、どうしたらよいですか。

 伝え方を変えたらよいと思います。我が社には無添加のハミガキがありますが、「無添加」と訴えるのではなく、「ハミガキは食品と同じ」とメッセージを変えたことで、3年で売上が140%に上がりました。まず消費者の立場に立つこと。そのうえで、「商品のどこに共感してくれるか」を考え、訴求内容を見極めることが重要です。

 ── なるほど。

 加えて、大切なのはターゲットを絞ることです。いま、弊社は「ヨガをする人=ヨギー」向けに商品を訴求すべく、ヨガのミニ番組への提供をしています。またインフルエンサーとなるインストラクターの方の活用、ヨガスタジオによる体験型プロモーションなども展開しています。

 ── ターゲットが「ヨガをする人」とは、かなり限定的な気がしますが。

 ヨギーはナチュラル志向の方が多く、無添加商品に興味を持って下さるのでは、と考えたのが始まりです。でもターゲットを絞ることで、「環境を考える」という一見誰にでも当てはまりそうな思想を、より「自分ごと」として受け止めて下さる効果があるのです。

 ── 企業のメッセージが、「宣伝」ではなく「自分ごと」になるのですね。

 日々マーケティング活動を行っていると、どうしても企画の面白さに目がいきがちです。でも、その企画が目的や理念につながるものか、意識せねばなりません。

 弊社は2012年秋、屋久島の海を舞台にスイムツアーをする「屋久島オープンウォータースイミング」の協賛を行いました。屋久島と弊社に深い関係があったわけではありませんが、屋久島は自然遺産にも登録された自然豊かな場所ですし、何より水が柔らかい。「健康な体ときれいな水を守る」という理念を消費者に伝えるためには、よい活動だと思いました。

 このように、理念と一貫性のある活動を続けていたら、いつしかそれが「ブランド」になると思っています。ブランドはメーカーがつくるものではなく、消費者のなかに生まれるものだと私は思います。

 ── ありがとうございます。最後に、同じくマーケティングに関わっている方へのメッセージがありましたらお願いします。

 自戒も込めていますが情熱をもって行動し続けてほしいです。情熱があれば、いい人とつながることができます。さきほどご紹介したヨガ番組は、島本麻衣子さんというインストラクターにご協力頂いていますが、もとは知り合いでもなんでもありませんでした。ヨギー向けの企画がもちあがったとき、以前テレビで拝見した島本さんをふと思い出し、制作会社を介して出演を依頼してもらいました。

 このように、思いがあると、常にアンテナを張った状態にもなりますし、人と人が自然とつながります。もし壁を感じている方がいたら、まずはパソコンを閉じ、自分の情熱を人に伝えることからはじめてはいかがでしょうか。きっと道がひらけると思います。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
統括編集長インタビュー連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/06/20 13:57 https://markezine.jp/article/detail/17753

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング