利用率は脅威の6割超!Gunosyが狙うのは「本屋の“フラっと体験”」

── プロジェクト開始から2か月後にサービスをリリースし、その1年後には法人化したと伺いました。法人化したということは、「ビジネスになる」という目算があったのでしょうか。
福島:目算よりもユーザーを裏切りたくないという気持ちの方が強かったです。当時すでに2万人のユーザーがいて、利用率も高かったですから。
竹谷:2万人のうち、週1回利用している人が、12,000人以上もいました。つまり利用率6割強。これって、すごいことですよ。
私は以前ソーシャルゲームの運営会社にいたのですが、ゲームの場合、100人のユーザーのうち、利用しているのはせいぜい5人程度です。数百万人がダウンロードしているアプリでも、実際に使っているのは1万人程度と聞きます。
福島:竹谷は、利用率の高さに驚いて、Gunosyに入社してくれました(笑)。
竹谷:はい、法人化のタイミングで入社しました。利用率の高さを考えると、ビジネスとして成立すると考えました。
── いまも1日1,000人単位でユーザー数が伸びているそうですね。
竹谷:iPhoneとAndroidでのサービスを開始したことで、ユーザー数はいまも伸びています。またこれまでのユーザーは主に男性でしたが、ユーザーの裾野を広げるため、女性ユーザーの獲得に力を入れています。iPhoneアプリのアイコンもユニセックスなイメージにしましたし、Webサイトのデザインも変更予定です。

福島:というより、これまでクローリング対象としていた記事はカテゴリーで例えると「工業高校系」がメインでした(笑)。化粧品やグルメなど、女性に人気の記事も推奨記事にエントリーされるよう工夫しています。これまでは、エンジンのクローリング対象にすら入っていませんでしたから。

竹谷:いま注力しているのは、ユーザー数を伸ばしきることですが、それと並行しつつビジネス面についても検討していきたいと思っております。おそらく、広告で収益をあげる仕組みになると思いますが、ユーザーにとって「押しつけがましい」広告ではなく「見てよかった」と思える広告を提供したいです。例えばクックパッドさんのように、広告ではあるがユーザーにも役立つという内容をイメージしています。
── 広告のパーソナライズ化を、よりユーザー視点で実装していくイメージでしょうか。
竹谷:先日、あるユーザーから「僕が読むべき本を教えてほしい」というリクエストがありました。つまり、自分の志向に合わせて、読むべき本を提示して欲しいと言われたのです。こういったコンテンツは例え広告であっても、ユーザーにとっては意味のある広告だと言えるのではないでしょうか。
── ここまでの話の中でユーザーに有益な情報を伝えたいという意志はもちろん、埋もれてしまっている良質なコンテンツを掘り起こしたいという思いも感じます。
福島:ITが普及しネットが一般化する中、面白いコンテンツは日々増え続けています。今後も無限に増えるでしょう。でも人間の脳も時間も有限。このギャップを埋めたいです。本屋にフラっと行くと、面白い本に出会えますよね。でも時間がないと、立ち寄ることはできない。この「フラっと」体験を提供するのがGunosyの役割だと思っています。
竹谷:ITの進化で、情報をストックする倉庫はできました。でも多くの人は、倉庫に何が入っているのかすら、把握できていません。この中身を見せてあげたいですね。