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EC・通販最前線

「初回訪問で如何に胃袋を掴むか、そこが勝負」
売上高1,000億円目指すオイシックスの成長秘話


 00年前後といえばEC黎明期と言われていた時代。ゴルフダイジェスト・オンライン、ネットプライスドットコム、ケンコーコム、マガシーク、スタートトゥデイ――黎明期に産声を上げたEC企業は次々に株式を上場した。有機野菜などのECを手掛けるオイシックスはそんな上場EC企業と同世代にあたる。EC業界で長らく「上場予備軍」とささやかれオイシックスは、創業から12年超が経った今年3月、マザーズに株式を上場した。今や当たり前になりつつある産地直送の通販・ECビジネス。EC黎明期時代から先進的に取り組んだオイシックスの成長に迫る。

野菜は売上の4割、残りは加工食品など

 オイシックスの事業内容を思い浮かべると、「野菜のネット通販会社」と答える人は多いのではないだろうか。

 だが、ECサイトのタイトルに記載されているように、オイシックスは「有機野菜などの食材宅配 ナチュラル&オーガニック・ネットスーパー」とある。それを示すように、全社売上高で野菜関連が占める割合は3~4割程度で、残りは加工食品など。野菜のECからはじまったオイシックスは、今や「ネット上のスーパーマーケット」に変遷しているのだ。

苦労した農家の開拓、単月黒字化には3年要す

 オイシックスが「野菜のEC会社」と認知されるようになったのには、創業に関する強いエピソードがあるからだろう。今年6月、オイシックスは会社設立から13年を迎えた。遡ること15年、98年はECをはじめる企業が出始めた時期にオイシックス(当時は有限会社コーへ―)はECをはじめた。

 当時大学生で創業メンバーの1人、堤祐輔取締役EC事業本部長らは、ECで成功するためのビジネスモデルを模索していた。旅行の航空券、シルバーアクセサリーのネット販売なども手掛ける中、将来的な成長の可能性を感じたのが食品分野だった。

株式会社オイシックス 取締役EC事業本部長 堤祐輔氏
株式会社オイシックス
取締役EC事業本部長 堤祐輔氏

 当時競争相手がいなかった食品のEC。中でも扱いの難しい野菜に決めた。そして00年6月、社名を「オイシックス」に商号変更し、有機野菜の通販サイト「Oisix」を開設した。実店舗のスーパーで野菜を購入することが当たり前の時代。ネットという新たな販売手法による市場開拓の挑戦がはじまった。

 「食品の流通業界は数兆円の規模があり、コンペティターがいなかった分野だった」(堤取締役)ことが食品分野のECに参入した大きな理由だが、他にも勝算があった。「(農業は)商品を食べる人と作る人のギャップが大きい」(同)。こうしたギャップの大きさ、矛盾の解消にこそ、ビジネスチャンスがあると感じたのだ。

 商品開拓含めゼロからのスタート。卸市場で農家の電話番号を調べて1件1件農家にアプローチ。ほぼ全ての農家に断られる中、唯一取引に応じたのが千葉県の有機野菜を作る農家だった。千葉県の農家から有機野菜を仕入れ、販売。「販売した5個のうち3個にクレームがきた」と堤氏は当時を振り返る。

 地道な農家開拓、サイトの構築などを重ねたが、単月黒字化までにはEC開始から3年を要したという。

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TAMA(タマ)

 流通系専門紙の編集に携わる。現在、サラリーマンをしながら、フリーライターとして執筆活動中。活動ジャンルはITと流通周り。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/06/25 09:43 https://markezine.jp/article/detail/17841

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