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マーケティングの未来を探求!MZ Day 2007レポート

【MZDayレポート】「ハンゲーム」のクロスメディアキャンペーンに見る、次世代広告コミュニケーションとそのクリエイティブ


メディアを超えたコミュケーションで、会員登録を加速させた「ハンゲーム」

 「ハンゲーム」とは、韓国最大のインターネットサービス会社であるNHNの日本法人NHN Japan が運営するインターネットゲームポータルサイトだ。登録ゲーム数は160を数え、アバター、コミュニティサービスなどを提供している。サービスを展開中の韓国・日本・中国・米国では、合わせて2億2300万人が利用しており、2000年11月にサービスが開始された日本では、2007年9月現在で登録会員が2200万IDを突破した。この急速な会員獲得の牽引役となったのが、「クロスメディアコミュニケーション」を活用したキャンペーンであった。

 そのモチーフとなったのは、「ハンゲームでゲームやコミュニケーションを楽しむネット上の部活」という架空の部として設立された「ハンゲー部」である。その「新入部員勧誘活動」がすなわちキャンペーンというわけだ。ここでまず前提として持つべきものは、メインターゲットである大学生がリアルな部活動やサークル活動で感じている「日常に密着した楽しい体験」である。そのイメージを、各メディアにおいて、人気俳優やタレントに「ハンゲー部」所属の勧誘部員を演じさせることによって訴求し、ターゲットにバーチャルに体験させたわけである。

キャンペーン当時のハンゲー部のトップページ。
現在のページは「部員探しの旅」にでているため、活動は休止している。

 キャスティングは、俳優の塚本高史扮する「ポコタンヌ」、グラビアアイドルの南明奈扮する「ピンク少佐」など。大学生に人気があり、親近感が感じられることが求められた。

 まず、一気に大勢にアプローチできるメディアとして、テレビCMを放映。そこからWebサイトへの誘導を促した。Webサイト内では「ハンゲー部ウェ部」というネーミングはもちろん、部活動としての雰囲気づくりや演出を行っており、テレビCMのメイキングやロングバージョン、キャラクター紹介やメッセージムービーなど、コンテンツとしての親密さにこだわっている。そうしたコンテンツを友人に送ることができるように工夫されているのは、バイラルな拡大を期待してのことだという。

 また、キャンペーンサイトから「ハンゲーム」のメインページへとリンクされており、そこでは登場キャラクターがハンゲームの会員として実在しているかのように、ブログやマイホームが作成されている。さらに、タレントによるチャットイベントやキャラクターが登場するゲームなど「ハンゲー部」のリアリティを実感させるような演出を多方面において行った。

 そしてNHN Japanの立花氏が「最もユニークな試みだった」と評価しているのが、オフラインにおける展開である。大学のキャンパス、学食、最寄り駅などに手作り風のポスターやチラシを掲示し、リアリティ感の演出に加えて、学生同士のコミュニケーションにおける話題作りを行った。

左から、株式会社アサツー・ディ・ケイ 関良樹氏、
NHN Japan株式会社 ゲームエンタープライズ事業部の立花正彦氏、
株式会社アサツー・ディ・ケイ/クリエイティブ・ユニット「SHOWCASE:」の川越智勇氏

 しかも、大学や駅ごとに「○○大学の皆様へ」というようにターゲットを特定した表現を用いている。こうしたオフラインのリアルな世界への展開は、ポスターやチラシだけに留まらない。学園祭へ「○○大学ハンゲー部」と銘打って模擬店を出したり、イベントを企画したり、「Tokyoゲームショウ」では、キャラクターが登場するなどのサプライズイベントを行った。

 これ以外にも「ハンゲー部の唄」のCDリリースやタイピングゲームへの活用等、ターゲットとの親和性の高い音楽を活用した接点拡大を試みている。

 こうしたキャンペーンが受け入れられるためには、「ハンゲー部」がターゲットにとって魅力的であることはもちろん、その体験を身近に感じてもらうことである。そのために、「ターゲットが触れるであろう接点」を探るべく、川越氏自らが「今時の大学生の朝起きて夜寝るまでの生活」をとことんリサーチしたという。その上で、テレビ、Web、紙媒体広告、ポスターやチラシ、Webバナー、音楽、キャラクターイベントなど、ネットとリアル、マスとバイラルといった異なるメディアを統合的に活用し、その接点接点で確実にターゲットとのコミュニケーションを積み上げていった。

 その結果、キャンペーンサイトへのアクセスは、実施期間の数ヶ月の間にのべ120万以上に上り、加入者も通常の倍のペースで増加したという。キャンペーン後はサイト上に「探さないでください。部員探しの旅に出ます」のメッセージが残され、次回を期待させる終わり方になっている。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/09/26 20:12 https://markezine.jp/article/detail/1784

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