欲しいものが見つかる、ヴィレッジヴァンガードのようなサイトに
―― 現在40以上のファッションECサイトと提携しています。ユーザーが自由にコーディネートをするiQONに対し、ブランド側の反応は如何ですか。

そもそも、アプリの訪問者数を月間1,000万人に据えていました。でも現状はまだ200万人。集客が不十分であるということは、商品の購入額も不十分ということで、提携先には十分なビジネスインパクトをお返し出来ていません。
―― でも、ユーザーのコーディネートによって、商品の新たな魅力が引き出されるという付加価値もあります。
それを付加価値と捉えるかどうかは、ブランドによって異なるんですよ。特に高級なブランドは「世界観」を大切にしますから。
―― 世界観?
極端に言うと、高級ブランドが販売しているのは「商品」ではなく「ストーリー」なんです。ブランドがもつ歴史や職人のこだわりが「ストーリー」となり、商品の付加価値につながります。だから100万円のバッグに、1,000円の靴をコーディネートされては困るわけです(笑)
―― なるほど。でもユーザーをコントロールすることはできませんから、少なくともネット上でストーリーを守るのは難しいかもしれません。
スマホの普及率を考えると、インターネットは生活インフラになりつつあります。以前、ネットを使うサービスは「ネットサービス」のような言葉で一括りにされていました。でもいまは、ファッションであれ何であれ、ネットはすべての業界のツールとして使われるものだと思います。まずはiQONを入口に、ネットをツールとして活用頂きたいです。
―― コーディネート機能と販売機能を兼ね備えたiQONのサイトを見ていると、「ネットをツールとして使わねば」という意味がよく分かります。ちなみにiQONにとって、競合サイトはどこですか。
ソーシャルゲームですね。
―― ファッションサイトではなく?
はい。iQONが成功するということは、若い方たちの可処分時間と可処分所得がiQONに投じられるということです。パズドラで魔法石に投じるお金を、ワンピースや靴に投じたいと思わせる。そんな世界観を作りたいと考えています。
―― いま、iQONにはどのくらいの時間が投じられていますか。
平均して1日30分ですね。コーディネートは、平日で1,000回、休日になると2,000回更新されます。
―― 相当熱心にコーディネートされているんですね。ユーザーの熱が伝わってきます。
ていうか、私、ファッションは日本の外貨獲得にも役立つと思っているんですよ。
―― 突然、大きな話になりましたね。
大きな話ですが、非現実的ではないです。
―― 聞きましょう。
例えば女性は、お気に入りのワンピースを着ていたらテンションあがりますよね。すると周囲にいる男性のテンションもあがり、「一緒に飲み会でもしようか」となるじゃないですか。
―― ほほう。
するとお金も使いますし、素敵な女性が増えたら結婚するカップルも増えるかもしれない。そしてオシャレな人が増えたら、少なくとも日本はアジアでカッコイイ国になる。東京がアジアにおける「パリ」になれたら、観光客も絶対に増えます。
―― 日本人には、それだけのファッションセンスがあると見込んでいるわけですね。今後、iQONはどんなサイトに成長したいですか。
実は、iQONには検索窓がないんですよ。つまりAブランドのBという商品が欲しくても、なかなか辿り着けません。そしてトップ画面には、売り物の商品ではなくユーザーのコーディネートが並んでいます。スクロールすればするほど、次々とコーディネートが出てきます。
―― 何を意味するのでしょう?
いわゆる、ウィンドウショッピングです。昨今は、モノが溢れすぎて、どこに自分好みの商品があるか分からない。かといって「女性らしい花柄のワンピース」と検索しても、グーグルは探してくれません。
―― なるほど。
であれば、コーディネートをひたすら見てもらうことで、買いたい商品に出会わせてあげるのがiQONの役目だと思っています。ヴィレッジヴァンガードみたいに、楽しみながら探索するサイトになればいいですね。
―― 今後が楽しみです。ありがとうございました。
と嬉しそうに話す金山さん
