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MarkeZine Day 2025 Retail

統括編集長インタビュー

「パズドラの魔法石ではなくカワイイ服を買ってほしい」
コーディネートサイト「iQON」が目指す世界観


欲しいものが見つかる、ヴィレッジヴァンガードのようなサイトに

 ―― 現在40以上のファッションECサイトと提携しています。ユーザーが自由にコーディネートをするiQONに対し、ブランド側の反応は如何ですか。

 そもそも、アプリの訪問者数を月間1,000万人に据えていました。でも現状はまだ200万人。集客が不十分であるということは、商品の購入額も不十分ということで、提携先には十分なビジネスインパクトをお返し出来ていません。

 ―― でも、ユーザーのコーディネートによって、商品の新たな魅力が引き出されるという付加価値もあります。

 それを付加価値と捉えるかどうかは、ブランドによって異なるんですよ。特に高級なブランドは「世界観」を大切にしますから。

 ―― 世界観?

 極端に言うと、高級ブランドが販売しているのは「商品」ではなく「ストーリー」なんです。ブランドがもつ歴史や職人のこだわりが「ストーリー」となり、商品の付加価値につながります。だから100万円のバッグに、1,000円の靴をコーディネートされては困るわけです(笑)

 ―― なるほど。でもユーザーをコントロールすることはできませんから、少なくともネット上でストーリーを守るのは難しいかもしれません。

 スマホの普及率を考えると、インターネットは生活インフラになりつつあります。以前、ネットを使うサービスは「ネットサービス」のような言葉で一括りにされていました。でもいまは、ファッションであれ何であれ、ネットはすべての業界のツールとして使われるものだと思います。まずはiQONを入口に、ネットをツールとして活用頂きたいです。

 ―― コーディネート機能と販売機能を兼ね備えたiQONのサイトを見ていると、「ネットをツールとして使わねば」という意味がよく分かります。ちなみにiQONにとって、競合サイトはどこですか。

 ソーシャルゲームですね。

 ―― ファッションサイトではなく?

 はい。iQONが成功するということは、若い方たちの可処分時間と可処分所得がiQONに投じられるということです。パズドラで魔法石に投じるお金を、ワンピースや靴に投じたいと思わせる。そんな世界観を作りたいと考えています。

 ―― いま、iQONにはどのくらいの時間が投じられていますか。

 平均して1日30分ですね。コーディネートは、平日で1,000回、休日になると2,000回更新されます。

 ―― 相当熱心にコーディネートされているんですね。ユーザーの熱が伝わってきます。

 ていうか、私、ファッションは日本の外貨獲得にも役立つと思っているんですよ。

 ―― 突然、大きな話になりましたね。

 大きな話ですが、非現実的ではないです。

 ―― 聞きましょう。

 例えば女性は、お気に入りのワンピースを着ていたらテンションあがりますよね。すると周囲にいる男性のテンションもあがり、「一緒に飲み会でもしようか」となるじゃないですか。

 ―― ほほう。

 するとお金も使いますし、素敵な女性が増えたら結婚するカップルも増えるかもしれない。そしてオシャレな人が増えたら、少なくとも日本はアジアでカッコイイ国になる。東京がアジアにおける「パリ」になれたら、観光客も絶対に増えます。

 ―― 日本人には、それだけのファッションセンスがあると見込んでいるわけですね。今後、iQONはどんなサイトに成長したいですか。

 実は、iQONには検索窓がないんですよ。つまりAブランドのBという商品が欲しくても、なかなか辿り着けません。そしてトップ画面には、売り物の商品ではなくユーザーのコーディネートが並んでいます。スクロールすればするほど、次々とコーディネートが出てきます。

 ―― 何を意味するのでしょう?

 いわゆる、ウィンドウショッピングです。昨今は、モノが溢れすぎて、どこに自分好みの商品があるか分からない。かといって「女性らしい花柄のワンピース」と検索しても、グーグルは探してくれません。

 ―― なるほど。

 であれば、コーディネートをひたすら見てもらうことで、買いたい商品に出会わせてあげるのがiQONの役目だと思っています。ヴィレッジヴァンガードみたいに、楽しみながら探索するサイトになればいいですね。

 ―― 今後が楽しみです。ありがとうございました。

「日本人のファッションセンスは世界一。iQONがそれを表現し伝える場になればよい」
と嬉しそうに話す金山さん
日本人のファッションセンスは世界一。iQONがそれを表現する場になればよい」と話す金山さん

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/06/19 10:32 https://markezine.jp/article/detail/17863

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