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次世代広告コミュニケーションの秘訣

絶対の正解は存在しない?ブランデッド・コンテンツの作り方の秘訣

ブランデッド・コンテンツ制作のヒント

 「ブランデッド・コンテンツ」と呼ばれるものの第一の特徴は、従来の広告の枠を越えていることに他なりません。だからこそ、従来の広告の作り方や常識とは、大きく異なるポイントが存在します。ここでは、従来の広告の考え方と対比させる形で、効果的な「ブランデッド・コンテンツ」制作のヒントについて、見て行きましょう。

 従来の広告では、「どのブランドが、何をメッセージしているのか、明確に伝わることが良い」とされて来ました。しかし、「ブランデッド・コンテンツ」では、「メッセージが明示的に伝わらない=広告らしくない」ことが、返ってプラスの要素となりえます

 別の言い方をすると、いままではひとつの広告の中で、ブランドのメッセージとしてきちんと完結している必要があったのですが、「ブランデッド・コンテンツ」では、むしろ一見未完成の状態で消費者に手渡された方が効果的なケースが多いのです。この部分のアタマの切り替え、態度の切り替え、体質の切り替えみたいなことは意外と難しいので、あなたの広告でのキャリアが長ければ長いほど、注意が必要だと思います。

伝える視点と受け取ってもらう視点の違い

 また、従来の広告では、複数のメディアを活用する場合、ひとつのビジュアル要素(One Look)とひとつのメッセージ(One Voice)が望ましいとされて来ました。いちばん単純なやり方で言えば、テレビCMも新聞広告も駅貼りポスターも、同じタレントの同じ笑顔があり、同じコピーが同じ書体で書かれている、といったことです。

 それに対して「ブランデッド・コンテンツ」では、コンセプトあるいはメッセージの中身の統一は必要ですが、一方で接点(メディア)ごとに最適なコンテンツを作り出すことが必要だと考えられます。そして、接点ごとに最適なコンテンツを作り出すためには、はっきりした統一性はむしろマイナスとなるのです。

 従来の広告では、いかに効果的にメッセージを消費者に伝えるかと考えて来ました。それに対して、「ブランデッド・コンテンツ」では、いかに効果的にメッセージを消費者に受け取ってもらえるかと考えます。「ブランデッド・コンテンツ」の考え方では、コミュニケーション上、徹底的に受け手が優位だと捉えるわけです。言葉を変えれば、第2回目で触れたように、情報の送り手がブランドをコントロールするというコミュニケーションの考え方ではなく、受け手がブランドをコントロールするという考え方に立っていると言えるでしょう。

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売上前年比9%アップを記録したブランデッド・コンテンツの成功事例

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この記事の著者

佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。
受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザー、古河電池の社外取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/06/14 10:00 https://markezine.jp/article/detail/17942

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