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LINEをO2Oプラットフォームとして大活用!スモールビジネスに最適な「LINE@」活用戦略に迫る

 先日7月10日に、トライバルメディアハウス主催による「LINE@マーケティングセミナー ~あなたのお店を繁盛店にするLINE@活用術!~」が開催された。同社執筆の書籍「LINE@ 公式ガイド 小さなお店の店長・スタッフが実践すべき新・100の法則」の出版に合わせて行われた本セミナーには、LINEより田端信太郎氏、また企業事例としてタワーレコードやパルコの運営担当者を招き、先行者の実感が盛り込まれたリアルな内容となった。

O2OプラットフォームとしてLINEが秘める力

 初めに、LINEより執行役員 広告事業グループ長の田端信太郎氏が登壇。日本だけでなく、国境を越えてタイや台湾など世界中へ広がる「LINE」の概要、そして日本ですでに数千の企業や団体が活用している「LINE@」について紹介が行われた。

LINE株式会社 執行役員 広告事業グループ長 田端信太郎氏

 現在、世界230以上の国に2億人を超えるユーザー(日本ではおよそ4,500万人)を擁するLINE。ソーシャルメディアの一つと捉えられがちだが、「LINEはパブリックに自分のことを明らかにするわけではない。友人・知人との電話やメールのように使えるツールだから人を選ばず、実際にユーザー分布も日本の人口統計とほぼ一致している」と田端氏。さまざまなユーザーにリーチできるマーケティングプラットフォームになりつつある。

 大手企業を中心に、商用の公式アカウントやスタンプ配信で成果を上げているのは周知の通りだが、月額5,250円で導入できるLINE@に注目が集まっている。LINE@には「使い慣れていて『友だち』を集めやすい」「プッシュ通知」などの特徴があり、友だち1万人の上限も、地域に根差した小売や飲食店、タウン誌や自治体などには適正サイズとも言え、販促クーポンの利用率が25%に上った例もあるという。

 「スパムが発生しないよう、技術的に非常に注力している。また、双方向・共有性のあるコミュニケーションを図れる、プッシュではない記事投稿フィード『企業home/timeline』を6月にリリースした。O2Oプラットフォームを確立し、日本の好事例を海外へ発信したい」と田端氏は展望を述べた。

LINE@は戦略に基づいて運用、効果検証・改善をしっかりと

 次に、書籍『LINE@ 公式ガイド 小さなお店の店長・スタッフが実践すべき新・100の法則』(インプレス・ジャパン)を執筆したトライバルメディアハウス SMMコンサルティング部の松田かおり氏、植原正太郎氏より、繁盛店につなげるLINE@の活用術が解説された。

株式会社トライバルメディアハウス SMMコンサルティング部 チーフシニアコンサルタント 松田かおり氏

 松田氏はLINE@マーケティングの可能性について「手軽・読まれる・集客できる」と提示する。ただし、当然ながらアカウントを開設しただけでは効果は上がらない。「1.戦略策定、2.友だち獲得、3.メッセージ配信、4.運用改善、の4ステップをしっかり踏まえたい。例えば1では、自店の特徴を把握し、ターゲットをイメージした上で、コミュニケーション、宣伝、販促など運用の目的を絞り込んでいく」と提示する。

株式会社トライバルメディアハウス SMMコンサルティング部 アナリスト 植原正太郎氏

 基本的にLINEは友人とのコミュニケーションに使われているため、押し付けすぎるとブロックされてしまう。「スマートフォン壁紙などデジタルインセンティブの配信や、ユーザーの店舗利用時間に合わせた情報提供など、顧客目線が欠かせない。いくつかのポイントに留意して取り組むことで、パン屋の夕方のタイムセール、美容院の急なキャンセルを付加価値提供でフォローするなど、多くの好例が生まれている」と植原氏は語る。

 LINE@は手軽とはいえ、効果検証と改善をして初めて着実な成果を手にできることは他の施策と同じだ。こうしたノウハウに明るい外部パートナーと組むことで、費用対効果を大きく引き上げることができる

【タワーレコード】LINE@クーポン、10~15%高利用率の店舗も

 本セミナーには企業事例として、『LINE@ 公式ガイド』にも掲載されているタワーレコードとパルコから運用担当者を招いた。タワーレコードでは、Facebook、Twitter、Google+とLINE@を使い分けている。同社営業戦略室 デジタルマーケティング担当の宮崎清志氏は、「音楽商材は配信する情報は豊富だが、人によって好みがさまざまなので、アカウントを分けるなど配信内容に配慮している」と話す。

タワーレコード株式会社 営業戦略室 デジタルマーケティング担当 宮崎清志氏

 今年1月に開設したLINE@は、大型店舗15店で展開。主にクーポンやセール情報などを提供している。「割引クーポンは、店によって10~15%など高い利用率が上がっている。現在の『友だち』は元々来店している人が中心なので、来店頻度の向上を模索中だが、他のSNSに比べて管理や操作が圧倒的に簡単で、リスクが少ない点は大きなメリット」と宮崎氏は語る。

 現在の課題として、新規ユーザーへのリーチや配信頻度・内容の精査、PDCAサイクルの運用などを宮崎氏は挙げる。「新規ユーザー獲得のために、他企業とのコラボレーションや本社からの告知強化に取り組みたい。音楽商材は割引があるからといって無理に買うものではないので、LINE@と他のツールを組み合わせた企画性の高いキャンペーンなども検討している。運用し始めて分かったことも多いので、今後も知見を蓄積していきたい」と宮崎氏は実感を込める。

【パルコ】LINE@を各店舗のローカルニーズに応えるチャネルに活用 

 続いて、パルコ WEBコミュニケーション部の島袋孝一氏より、同社が全国19の店舗ごとに運用しているLINE@の状況が紹介された。同社は従来からマス広告での宣伝に力を入れているが、近年ではネットやSNSも積極的に取り入れ、徐々にそれらの活用に重きをおきつつある。セールのキャラクター“パルコアラ”とLINEのスタンプアイコンがコラボしたこの夏のセールCMは、関東圏では放映せず、地方局かYouTubeでの配信に限っている。

株式会社パルコ WEBコミュニケーション部 島袋孝一氏

 昨年12月に導入した、全店の告知用の“パルコアラ”LINE@はすぐにユーザー数が伸び、今年5月には公式アカウント化。翌月のスタンプ配信で弾みがつき、約420万人にも上った。「公式アカウントを太い幹、PARCO各店のLINE@は店舗ニーズに合わせたO2O施策を行う枝葉として位置付けて、各店への流入を図っている」と島袋氏。

 各店LINE@を使った初の企画として、7月4日から12日まで500円優待券の案内を配信。配信数16万4,000件に対して開封率が36.5%(6万件)、利用率は9.7%で全国に用意した6,000枚がすべて引き換えられた。一部店舗では、開店前に行列ができたという。

 「同様の企画を他のメディアで行うのは極めて難しいと思う」と島袋氏は振り返る。「一人1回しか使えないようにできるインターフェースを含め、コスト感もいい。施策ごとの意思決定のスピードや現場との情報共有、インセンティブ設定などが今後の課題」と島袋氏は述べる。

1通のメッセージで確実にお客さまが動く

 セミナーの締め括りとして、トライバルメディアハウスの松田氏・植原氏をモデレーターに、LINE 田端氏、タワーレコード 宮崎氏、パルコ 島袋氏によるパネルディスカッションが行われた。

モデレーターを務めるトライバルメディアハウスの松田氏と植原氏。白熱したディスカッションでした!

 タワーレコード、パルコとも複数店舗でLINE@を導入・運用していることから、一つ目の話題はその点に。導入時の社内コンセンサスや懸念事項について島袋氏は、「本部の意思決定は早かった。各店へはある程度説明し、まずは本部が預かって運用するので“走りながら”の共有を図った」と話す。パルコは近日中に各店での運用へ切り替える予定だが、「積極的な店舗は自分たちでアイデアを出し始めている。管理者を複数名設定できるので、本部に加えて店舗担当者もアサインしている」という。

 すでにTwitterなどで現場のSNS運用に慣れていたタワーレコードは「むしろ現場がやりたいと。5,250円という料金設定にも本部のネガティブな意見はなかった」(宮崎氏)という。プライベートですでになじみがあり、ビジネスシーンでもLINEの勢いが多々報じられている今、2社とも「時代に遅れないように」との考えが垣間見える。

 実際に運用を始めて、宮崎氏は「これまでのSNSマーケティングでは、TwitterからECへなど効果がオンラインで終結しがちだったが、LINE@では確実に来店を促進しており、O2Oの手応えを感じている」と話す。同様に、「1通のメッセージで確実にお客様が動いているので、革命的だと実感している」と島袋氏。

LINE@マーケティングに絶対の正解はない

 個店単位の導入だと、両社のように本部のサポート体制はない。「他社の場合はどうか?」との松田氏の問いに、田端氏は「適切な内容や頻度は、顧客のニーズや距離感などによってさまざま。各店、トライ&エラーで最適な使用法を探られている」と答える。

(右)LINE株式会社 執行役員 広告事業グループ長 田端信太郎氏
(中央)タワーレコード株式会社 営業戦略室 デジタルマーケティング担当 宮崎清志氏
(左)株式会社パルコ WEBコミュニケーション部 島袋孝一氏

 「あくまでLINEはツールに過ぎない」と田端氏は続ける。「クライアントのビジネスにどこまで立ち入るかは逡巡するところ。その点では、当社とクライアント、そして運用支援を担う外部パートナーによるエコシステムの形成を期待したい」。

 最後にクライアントサイドの展望として、宮崎氏は「顧客の購買動向に合わせ、我々もECにシフトしてはいるが、やはり店舗あってのタワーレコード。他店との差別化に当社の存在感を示すにもLINE@を活用したい」と話す。

 また、島袋氏は「より精度の高い配信を目指したい」と提示。「そのために、本部でも注力するが、現場の熱意を最大限に活かせるようなサポートをしてもらえるといい。属性の把握や、主に地方で多いフィーチャーフォンのLINEユーザーへの対応などにも取り組みたい」と語る。

 新しく、汎用性のあるツールだけに、LINE@マーケティングに正解はない。だからこそ、書籍“100の法則”に示される細かなノウハウの活用や外部パートナーとの連携で、自店での最適な策を探るのが成果を得る秘訣と言えるだろう。

LINE@運用の力強いパートナー

本セミナーを開催したトライバルメディアハウスは、LINE@開設・運用支援サービスを行っています。
・これから新たにLINE@を自社で活用したい
・すでにLINE@を運用しているが、もっと効率的に運用したい
・自社だけのLINE@運用に限界を感じている
といった方々は、ぜひご相談ください。

『LINE@ 公式ガイド 繁盛店につながる集客・運営 小さなお店の店長・スタッフが実践すべき新・100の法則。』

[目次]
1、LINE@を理解して戦略を立てる法則
2、運用する前の準備・設定の法則
3、店舗やWebで友だちを獲得する法則
4、確実に読まれるメッセージを作る法則
5、お客さまとの継続した関係をつくる法則
6、売り上げを伸ばすクーポン配信の法則
7、データを分析して運用を改善する法則
8、お店の力を結集して運用効果を上げる法則

本セミナーを開催したトライバルメディアハウス執筆の書籍です。Amazonでの購入はこちら

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2013/07/30 11:00 https://markezine.jp/article/detail/18171