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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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Owned Media Report~オウンドメディアマーケティング戦略の潮流

「1億2千万人へ直接語りかけたいので“コミュニケーションの代理”という発想が生まれた」森永乳業の広告戦略全貌


エリアマーケティング成功事例“熱意がヒトを動かす”

── トレンドに惑わされず、ビジネス環境の変化に対する考察、様々な部署経験、ユーザーの声を真剣に汲み取るといった行動の結果から到達した考えなのですね。そのような視点の中で実行された施策の中で成功した例はございますでしょうか。

 直近の事例では、エリア広告の考え方で実行したエリアマーケティングが成功をおさめました。特定エリア限定でテレビ広告、デジタル、リアルイベントなどを連動させたコミュニケーション活動で、支店の販促部門と強く連動した施策です。対象エリアのテレビ広告やラジオ広告には、そのエリアに在籍する弊社社員が出演しました。結果、メディアと販促部門の方々の熱い思いを広告メッセージや販促行動に掛け合わせることで、流通店舗の棚取りに大きく貢献しました。

 より多くのお客様に熱意を伝えるためには、まず伝える側に高いモチベーションが備わっている、つまり“Message with Emotion”が重要です。今回は、そのエリアの社員やそのエリアにメディアの方々が、高いモチベーションでプロモーション活動をしていただける環境を作れたことが、大きな勝因となりました。一つの施策でも数多くの方々に関わっていただいております、私たち自身はもちろん、関わる方々がいかにモチベーション高く継続した行動をとりたくなるのかがポイントです。このような取り組みを各地で図っていきたいと考えております。

広告・マーケティングを捉えなおすきっかけとなった4つの思考法

 ── 一般的には、エリアマーケティング≒テストマーケティングの意味合いになりがちだと思いますが、御社の場合は、エリアマーケティングの成功事例を横展開する考えもお持ちなのですね。広告施策の実行、顧客管理の検証における考え方含め、なぜそのような考え方を持つようになったのでしょうか。

 こういった考え方を持つきっかけは、前野隆司氏の著書『思考脳力のつくり方 仕事と人生を革新する四つの思考法』を読んだことでした。この本は思考法をテーマとした本で、4つの思考ステップですべての問題は解決できると主張しています。4つの思考ステップとは、「要素還元思考」、「システム思考」、「ポスト・システム思考」、「システム思想」という考え方を指します。この思考法は広告の仕事にも当てはまるのではないかと思いました。

 第1段階の「要素還元思考」とは、物事を要素ごとに分解してそれぞれを詳しく知ることを意味します。広告の仕事に置き換えるならば、広告とは何か、メディアとは何か、どのような機能があるのかなどを理解することでしょう。それらの要素を組み合わせて、メディアミックスやクロスメディア施策を展開させるための考え方が第二段階の「システム思考」にあたります。

 ただ、実際には、世の中はもっと複雑に絡みあってきているため、これまでのような一方通行的なコミュニケーションを前提とした発想では、お客様へメッセージが届きづらくなっています。この悩みを解決するヒントを与えてくれるのが第三段階の「ポスト・システム思考」です。この思考は自分の考えや行動を自分だけの視点ではなく、より高いところから俯瞰することを意味しています。

 広告領域で置き換えるなら、ソーシャルメディアの台頭でコントロールが難しくなってきた事象を、今までよりもさらに俯瞰的な視点で捉えていくということにあたるでしょう。第四段階の「システム思想」は悟りの境地に近い考え方で、ここに到達するのは難しいかもしれません(笑)。この本に出会ったことで、広告・マーケティングに対する考え方を整理することができました。

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3年後に“真”のコミュニケーションデザイナー集団へ

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この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/09/30 17:12 https://markezine.jp/article/detail/18352

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