クロスデバイスにおけるデータ収集
ここで、モデレータを務める横山氏は、「データの収集は、もはやPCだけの時代ではなくなっている。PCやスマートフォン、タブレットなどクロスデバイスでのデータ収集についてどう思うか」と議題を提示した。

(中央左)株式会社マイクロアド 代表取締役 渡辺健太郎氏
(中央右)株式会社ALBERT 代表取締役 山川義介氏
(右)株式会社mediba CMO 菅原健一氏
「これからはPCとスマートフォンのデータをつなげていきたい。一日の中で、その時々でユーザーが使うデバイスは変わる。例えば、ユーザーがヒマな時にスマートフォンで検索して、ブランドに最初に接するきっかけができたとする。しかし、最終的にはタブレットやPCでコンバージョンするといった流れになっている。すると、一人のユーザーとして、PCとスマートフォンのデータをくっつけていく必要があり、今後の新たな取り組みとして重要になってくるだろう」と菅原氏。
ここで、渡辺氏が「スマートフォンとPCのクッキーが統合されれば、とても強烈だ。しかしその一方で、プライバシーの問題など、クリアしなければいけない壁についてはどう考えているのか」と問いかけた。
それに対して、菅原氏は「プライバシーポリシーの話しでいうと、基本的にはクッキーとデータの属性の問題であって、PCとスマートフォンのデータが統合されるでプライバシーが脅かされるわけではない。オプトアウトがきちんとできるか。ここが重要だと考えている」と答えた。
分析の軸は「オーディエンス」へ
そして、「オーディエンスデータで分析する、その心は?」という横山氏の問いに対して、塚本氏がその思いを語った。

(右)KDDI株式会社 コミュニケーション本部宣伝部 担当部長 塚本陽一氏
「我々は1キャンペーンでそれなりのディスプレイ広告のインプレッションのボリュームを出して、キャンペーンを行っている。しかしながら、1キャンペーンでアトリビューション分析を行っても、あまり面白い結果は出てこなかった。そこにはコンバージョンがオンライン上にないというの我々のビジネスモデルの問題もあるが、やはりキャンペーン単位、メディア単位で分析を行っていても、なかなか次のアクションにつながらない。
そうなってくると、分析の軸を変えて、オーディエンス単位行っていく必要性があるだろう。最終的にはCRMに近い概念とも言えるが、1キャンペーン単位での最適化ではなく、オーディエンスに対しての最適化をどう図っていくかを、今のうちからできる範囲で取り組んでいきたい」(塚本氏)
それに対して、「キャンペーンという広告主主体のタイミングから、受け手である消費者側のタイミングにどう合わせていくか。その必然性は、ますます高まっていくだろう」と、横山氏はコメントした。